Project/Area Number |
20H01973
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 17020:Atmospheric and hydrospheric sciences-related
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
廣岡 俊彦 九州大学, 国際宇宙惑星環境研究センター, 名誉教授 (90253393)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河谷 芳雄 北海道大学, 地球環境科学研究院, 准教授 (00392960)
渡辺 真吾 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 地球環境部門(環境変動予測研究センター), センター長代理 (50371745)
江口 菜穂 九州大学, 応用力学研究所, 准教授 (50378907)
岩尾 航希 熊本高等専門学校, リベラルアーツ系理数グループ, 准教授 (80396944)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥17,550,000 (Direct Cost: ¥13,500,000、Indirect Cost: ¥4,050,000)
Fiscal Year 2023: ¥4,420,000 (Direct Cost: ¥3,400,000、Indirect Cost: ¥1,020,000)
Fiscal Year 2022: ¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2021: ¥4,420,000 (Direct Cost: ¥3,400,000、Indirect Cost: ¥1,020,000)
Fiscal Year 2020: ¥4,420,000 (Direct Cost: ¥3,400,000、Indirect Cost: ¥1,020,000)
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Keywords | 気象学 / 中層大気 / 大気大循環 / 再解析データ / 数値シミュレーション |
Outline of Research at the Start |
気象観測データを全球数値モデルに同化して作成される再解析データは世界中の様々な気象機関で作成されているが、近年、それら再解析データ間の相違が、高度が高くなるにつれて拡大することが明らかになってきた。本研究では、再解析データ間の相違を様々な物理量について定量的に明らかにし、衛星観測データとの比較、大気大循環モデルを用いた数値シミュレーションを通し、中層大気大循環のより確度の高い描像を確立する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題2年目に当たる2022年度は以下の4項目の研究成果を挙げることができた。 (1)過去40年の長期再解析データJRA-55と気象研究所全球大気モデルに基づく「地球温暖化対策に資するアンサンブル気候予測データベース」d4PDFの6000年分のデータを用いて、北半球冬季成層圏における波束の下方伝播事例数の経度依存性と、下方伝播に伴い対流圏で発生する寒波について解析し、西半球の下方伝播が、より強い寒波を引き起こすことがわかった。 (2)衛星観測および長期再解析データ、非静力学全球モデルを用いて、成層圏突然昇温時の成層圏内の循環場、および熱帯域での成層圏と対流圏間の力学および熱力学過程に関する詳細な解析を実施した。また、南半球で生じた成層圏突然昇温について、オゾンホールに伴う大気加熱の寄与を気候モデルMIROC6を用いて評価したところ、その効果は二次的であり発生時期を規定するほど大きくないことがわかった。 (3)世界各機関の気候モデルの赤道域準2年周期振動(QBO)の再現性を再解析データと合わせて解析し、QBOが引き起こす熱帯上部対流圏温度変調と、それが熱帯降水活動に及ぼす影響について解析したところ、モデル間の相違が非常に大きいことがわかった。さらに、温暖化に伴う、モデル間の熱帯上部対流圏温度と成層圏ジェットのレスポンスの違いが、日本域の降水形成に及ぼす影響を明らかにした。 (4)トンガ火山噴火後に発生した大気波動のうち、ラムモードに次いで位相速度の速い「ペケリスモード」を静止気象衛星ひまわり8号をはじめとする観測データから初めて検出し、高解像度大気モデルで再現した鉛直構造が理論計算と一致することを確認するとともに、再解析データの地上気圧スペクトルにも同モードが存在し、微弱ではあるが連続的に発生していることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
長期再解析データJRA-55とd4PDFの6000年分のデータを用いて、波束の下方伝播事例数の経度依存性や寒波への影響を明らかにすることができた。また、成層圏突然昇温現象生起時の循環場の詳細や、成層圏突然昇温生起へのオゾンホールに伴う大気加熱の寄与に加え、赤道域準2年周期振動(QBO)が及ぼす熱帯域や日本域の降水活動への影響などについて、データ解析や大気モデルを用いた数値実験を進めた。さらに、トンガ火山噴火後に発生した大気波動に関しても研究が進展し、これらの成果を、学術論文や国内外の研究集会で発表することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は、2022年度に得られた成果に基づき、以下の項目を中心に研究を進める。 (1)気象庁の新しい再解析データJRA-3Qの正式提供が2022年12月に開始されたが、1991年から2013年の期間にとどまっているので、全期間の公開後、直ちに入手し、残差平均子午面流、EPフラックス、波活動度フラックスなどの様々な高次物理量について、日平均値、月平均値を、帯状平均、波動成分に分けて計算する。従来の再解析データの結果と比較し、差異を評価する。 (2)衛星観測データのupdateと、再解析データと同様の物理量の計算を行う。同時にオゾン、水蒸気などの微量成分場についても同様の成分に分けて計算する。 (3)オゾン場が予測可能な大気大循環モデルを用いて、オゾンと力学場の相互作用を含む場合と含まない場合について行った感度実験結果の解析を進め、感度実験相互の比較、および(1)、(2)の結果との比較を行う。 (4)上記で得られた結果に基づき、研究課題最終年度のとりまとめを行う。 個々の成果を学会や研究集会で発表するとともに、論文にまとめ、学術誌に投稿する。
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