Project/Area Number |
20H02648
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 30020:Optical engineering and photon science-related
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
松田 信幸 東北大学, 工学研究科, 准教授 (10587695)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金森 義明 東北大学, 工学研究科, 教授 (10333858)
山田 博仁 東北大学, 工学研究科, 教授 (60443991)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2021)
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Budget Amount *help |
¥18,070,000 (Direct Cost: ¥13,900,000、Indirect Cost: ¥4,170,000)
Fiscal Year 2022: ¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2021: ¥4,420,000 (Direct Cost: ¥3,400,000、Indirect Cost: ¥1,020,000)
Fiscal Year 2020: ¥9,620,000 (Direct Cost: ¥7,400,000、Indirect Cost: ¥2,220,000)
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Keywords | 量子光回路 / シリコンフォトニクス / 水素アニール / 量子情報 |
Outline of Research at the Start |
近年,光量子計算のための光干渉計回路,すなわちユニタリ変換光回路を,光導波路を用いてチップ上に大規模集積する研究が盛んに行われている.その上で,導波路内で生じる光伝搬損失の低減が重要な課題となっている. 本研究では,光の伝搬損失が生じない自由空間光学系に基づくユニタリ変換光回路の小型集積化を試みる.Si基板上に薄膜型のビームスプリッタ素子を高密度に集積した全く新しい形の自由空間型ユニタリ変換光回路を作製し,実験による動作実証を行う.これにより,従来の導波路型光回路と同等の集積度を有しつつ,光伝搬損失が低減された,新たな光回路プラットフォームの実現を目指す.
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、Si薄膜を用いた自由空間型光干渉回路を試作し、その基本的な動作検証を行った。 試作に先立ち、回路設計を検討した。入力光がSi薄膜を通過する際に生じる位置ずれを相殺するための素子配置を検討し、その効果を数値的に検証した。また、Si薄膜を通過する際に生じるビーム波面の傾きが、出力側光ファイバにおける集光効率を顕著に低下させないことを見出した。 設計に基づき、光回路のフォトマスクを作成した。膜厚は3~10μmの範囲で4水準とし、回路規模は28、薄膜高さは130μm、薄膜ピッチは250μmとした。次いで、外部ファウンドリサービスを用い、Si深掘エッチングにより素子を試作した。 試作回路について、光学顕微鏡による観察を行った。その結果、膜厚5μm以上の回路について、Si薄膜パターンの倒れがほとんど見られない回路が作製できていることが分かった。一方、膜厚3μmの回路については、パターンの倒れが目立った。機械的な強度を確認するため回路に圧縮ガスを吹きかけたところ、膜厚5μm以上ではパターンの倒れが生じず、頑強性を確認した。またSEM観察の結果、薄膜表面の荒れは想定よりも小さいこと、基板にほぼ垂直に薄膜が形成できていることが分かった。 次いで、光ファイバアレイから出射した波長1.55μmのビームをコリメートレンズアレイで平行光にしたのち、試作回路に入力した。出力ビームパターンをInGaAsカメラで評価した結果、250μmピッチでほぼ等間隔にビームが出力していることを確認した。また、任意の2つの入力ポートに光波を同時に入力し、出力画像を観測した結果、入力光の相対位相に応じてスポットが明滅する様子を確認することができた。このことにより、回路の光干渉動作を確認することができた。 また上記に加え、既存の光回路プラットフォームを用い、新しい種類の線形光学回路についての研究も実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
年度当初に設定した以下の目標をおおむね達成できたためである。 ・回路を試作すること ・素子を作製可能な最小膜厚を見出すこと ・ファイバアレイ及びコリメートレンズアレイの選定と、評価系の構築を行うこと ・試作が成功した回路について、出力ビームの形状や分布、干渉特性を評価すること ・素子のSEM観察により、表面荒れやチルトなどを評価すること 特に試作について、本素子は高アスペクト比で製造が難しいパターンであったにもかかわらず、想定を上回る精度の回路試作に成功した。またパターンが破損せずに製造可能な最小膜厚は5μmと、当初想定の7μmを下回ることができた。Si薄膜の厚さは、小さい方がより良い干渉特性が得られる。また、薄膜の垂直性や表面荒れについても当初の想定を上回る結果を得ることができ、即座に光干渉実験に進むことができた。構築した評価系の動作も良好であり、試作回路へのビームの入出力に成功するとともに、干渉特性の観測にも成功した。一方、薄膜の表面荒れが想定よりも小さかったため、SEM画像からは荒れに関する詳細な情報を取得することができなかった。次年度、より分解能の高い観察方法を用い、特性の抽出を目指す。
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Strategy for Future Research Activity |
試作回路の干渉特性の評価を継続する。特に、試作回路に実装されている電場振幅の変換行列を推定する。この行列から回路のユニタリ性や、変換行列のランダム性を評価し、量子情報処理用光回路としての動作特性を検討する。さらに、干渉特性を向上させるための薄膜配置オフセットの有無がもたらす効果について、実験的に検証する。 加えて、原子間力顕微鏡を用い、シリコン薄膜の表面(側壁)構造の詳細な評価を行う。表面粗さの分布などを薄膜全体について評価し、その結果をもとに光学損失との関係性を調査する。荒れが顕著な場合には、水素アニールによる表面平滑化を行い、光散乱損失の低減を目指す。 第二次試作では、シリコン膜厚の更なる低減や、エッチング深さの向上について検討を行う。また、新規素子として、シリコン多層薄膜を用いたミラーの試作も検討する。これらを通じ、目的とする光回路の構築を目指す。
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Report
(1 results)
Research Products
(12 results)