大規模ポリマーライブラリを利用した細菌叢メトリクス
Project/Area Number |
20H02774
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 34020:Analytical chemistry-related
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
冨田 峻介 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 主任研究員 (50726817)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
湯本 勲 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 研究部門付 (30358303)
宮崎 歴 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 研究部門長 (70358125)
菅井 祥加 筑波大学, 数理物質系, 助教 (10905566)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2021)
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Budget Amount *help |
¥18,070,000 (Direct Cost: ¥13,900,000、Indirect Cost: ¥4,170,000)
Fiscal Year 2022: ¥3,510,000 (Direct Cost: ¥2,700,000、Indirect Cost: ¥810,000)
Fiscal Year 2021: ¥5,070,000 (Direct Cost: ¥3,900,000、Indirect Cost: ¥1,170,000)
Fiscal Year 2020: ¥9,490,000 (Direct Cost: ¥7,300,000、Indirect Cost: ¥2,190,000)
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Keywords | 細菌叢 / 高分子 / 機械学習 / バイオメトリクス / パターン認識 / ブロック共重合体 / 凝集誘起発光 |
Outline of Research at the Start |
細菌の集合は“細菌叢”と呼ばれ、古くから食品等の発酵に利用されている。最近では、ヒトの消化器に生息する細菌叢が疾患と深く関わっており、細菌叢組成の改善によってそれらを治療できる可能性が明らかになってきた。こうした産業的・医学的に重要な細菌叢を人間の制御下に置くには、細菌叢の状態を簡易に評価するための分析技術の開発が必須である。本研究では、これまでに研究代表者が開発してきた、ポリマーアレイと機械学習を融合した“パターン認識センシング”の技術を細菌叢評価に展開し、細菌叢の状態情報を出力可能な“細菌叢メトリクス”を創製することを目的とする。
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、細菌叢メトリクスの基盤となる高い感度と識別能を与えるポリマー骨格および導入する環境応答性蛍光団と官能基の探索、そして作製した材料の評価のための細菌叢試料の調製を推進した。表面がアニオン性であり、リン脂質やペプチド骨格などで構成されている細菌からの応答を得るために、カチオン性ポリリジンとポリエチレングリコールのブロック共重合体を材料骨格として選定した。環境応答性蛍光団には、鋭い発蛍光応答を示す凝集誘起発光性のテトラフェニルエチレンを用いた。まず活性エステル化した4-(1,2,2-triphenylvinyl)benzoic acidをブロック共重合体の一部のアミノ基に導入し、さらに残りのアミノ基に様々なアミノ酸誘導体や酸無水物を修飾することで、計12種類の凝集誘起発光性ブロック共重合体セットを得た。これらのブロック共重合体を単離培養された腸内由来の細菌と混合すると、いずれも強い蛍光応答を生じることが確認された。このブロック共重合体セットを配置したアレイを用いることで、(i) 16種類の腸内細菌の種や門レベルの識別や、(ii) 腸内細菌叢を模した細菌混合試料の組成の識別が可能なことを見出した。また、これらと並行して、構築したアレイによる細菌叢メトリクス系の構築のために、2種類の細菌叢試料の調製を行った。(i) 腸内細菌叢:実験用マウスを2群に分けて飼育し、一方に睡眠や運動ストレスを与え続けた。一定期間後に細菌叢試料を採取した。ストレスの影響は歩行活動量や体重の変化等から評価した。(ii) 発酵細菌叢:細菌を含んだ染料の発酵液を、適切な条件下で維持管理し、様々なタイミングで細菌叢試料を採取した。染色の良否は、織物の染まり方を基に評価した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
凝集誘起発光性の蛍光団をレポーターユニットとして、多様なアミノ酸誘導体および酸無水物を認識ユニットとして導入したブロック共重合体セットを配置したアレイを新規に作製し、これを中心に検討を進めた結果、多数の腸内細菌を種レベルのみならず、門レベルでの識別が可能なことを示した。この結果は、構築したアレイが塩基配列に基づく細菌の系統分類に相関する性質情報を抽出できたことを意味している。細菌叢は門レベルの特徴的な組成パターンを示すことが報告されているため、この知見は細菌の混合物である細菌叢を評価するうえで重要な知見である。さらには、数種の腸内細菌を人工的に混合した試料の組成の識別も可能であったことから、その延長線上にある細菌叢への応用も期待される。加えて、構築したアレイを多角的に評価するために、腸内由来および発酵槽由来の細菌叢試料の調製も完了した。以上の成果から、当初の計画通りに研究が進展したと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
[1] 各種細菌叢の評価への応用:開発したブロック共重合体セットを利用することで、調製した腸内由来および発酵槽由来の細菌叢試料の認識が可能かどうかを検討する。 [2] ポリマー材料の更なる改良:高精度な細菌叢の認識を実現するために、細菌結合性を有するポリマー配列の検討を進める。単離培養された腸内由来の細菌の評価にこの材料を用い、その応答特性を確認し、得られた結果と初年度に合成したブロック共重合体セットの結果を比較しながら、配列設計にフィードバックを行い、より高機能な大規模材料ライブラリを作製する。
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Report
(1 results)
Research Products
(14 results)