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植物ホルモンの代謝系に保存された単量体⇔多量体スイッチングシステム

Research Project

Project/Area Number 20H03272
Research Category

Grant-in-Aid for Scientific Research (B)

Allocation TypeSingle-year Grants
Section一般
Review Section Basic Section 44030:Plant molecular biology and physiology-related
Research InstitutionNagoya University

Principal Investigator

上口 美弥子 (田中美弥子)  名古屋大学, 生物機能開発利用研究センター, 教授 (70377795)

Project Period (FY) 2020-04-01 – 2023-03-31
Project Status Granted (Fiscal Year 2021)
Budget Amount *help
¥17,680,000 (Direct Cost: ¥13,600,000、Indirect Cost: ¥4,080,000)
Fiscal Year 2022: ¥5,070,000 (Direct Cost: ¥3,900,000、Indirect Cost: ¥1,170,000)
Fiscal Year 2021: ¥5,070,000 (Direct Cost: ¥3,900,000、Indirect Cost: ¥1,170,000)
Fiscal Year 2020: ¥7,540,000 (Direct Cost: ¥5,800,000、Indirect Cost: ¥1,740,000)
Keywordsジベレリン / 植物ホルモン / X線結晶構造解析 / 不活化酵素 / オーキシン / 輸送体
Outline of Research at the Start

これまでに申請者らは、植物ホルモンの一つであるジベレリンの代謝酵素イネGA2酸化酵素(GA2ox3) の構造解析及び分子動力学的解析(MD) シミュレーションにより、GA2ox3はジベレリン濃度依存的な多量体形成と活性増大化を引き起こすことを見出した。このことは、モノーが提唱したアロステリック制御が植物ホルモンの代謝系に働いていることと、その分子メカニズムを新たに提示できたことを意味する。そこで本申請では、別の成長ホルモンであるオーキシンの代謝酵素も同様のアロステリック制御があるのかどうかについて検証する。

Outline of Annual Research Achievements

これまでに申請者らは、植物ホルモンの一つであるジベレリンの代謝酵素イネGA2酸化酵素(OsGA2ox3) の構造解析及び分子動力学的解析(MD) シミュレーションにより、GA2ox3が可逆的にジベレリン濃度依存的な多量体形成とそれに伴う活性増大化を引き起こし、ホルモン量を調整していることを見出した。このような調節は、古くは、モノーのアロステリック酵素として提唱されていた概念であるが、そのシステムが成長に関わる植物ホルモンの代謝系に働いていることと、その分子メカニズムを新たに提示できたことを意味する。そこで本申請では、別の成長ホルモンであるオーキシン(IAA) の代謝酵素にも同様のアロステリック制御があるのかどうかについて検証を試みた。
まず、イネのオーキシン代謝酵素(OsDAO)と基質であるIAAとの共結晶構造解析を進めた結果、全体構造は基質を介した2量体構造をとっている事が分かった。さらに、OsGA2ox3においてサブユニット間のジベレリンと結合し、アロステリックな反応に必須であるリジン残基に対応する塩基性アミノ酸がこの調節に関わっているのかどうかをin vitro(酵素活性や構造解析)およびin planta (BiFC解析)を用いて検証した。その結果、OsDAOにもジベレリン不活化酵素と同様の基質依存的な構造変化及び活性の上昇が見られたことから、植物にはホルモン量を調整する共通のシステムが存在することが示唆された。
また、今まで明らかとなっていなかったイネにおけるジベレリン輸送についてin vitro(Y2Hや発現解析)およびin planta (形質転換体イネを用いた形質調査)で検証し、糖輸送体であるSWEETタンパク質の一つであるSWEET3aがグルコースとともにジベレリンを輸送し、イネの初期成長を促進することを初めて明らかにした。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

1: Research has progressed more than it was originally planned.

Reason

現在のところ、イネゲノムからDAO遺伝子を単離して、リコンビナントタンパク質として発現させ、OsDAOと基質であるIAAとの共結晶構造解析に成功した。また、ゲルろ過により2量体および単量体の単離にも成功し、得られた各分子の酵素活性を調べたところ、IAAを介した2量体は単量体に比べ酵素反応速度がはるかに速いことが分かった。以上の結果から、ジベレリンの代謝酵素と同様に、OsDAOはオーキシンに依存した単量体と多量体形成のスイッチングを行い、それに伴う活性制御を引き起こすことが示唆された。これらの事から、本申請の目的であったDAOにもジベレリンの代謝酵素と同様のオーキシン依存的な多量体形成による酵素活性調節機構があるかどうかという問いに答えることができた。
当初の計画より順調に進んだことから、植物体内のジベレリン量がどのように調節されているのかに加えて、そのジベレリンがどこで作られ、どのように移動して作用しているのかを明らかにすることにした。その結果、糖輸送体であるSWEETタンパク質のひとつであるイネのSWEET3aが、ジベレリンを輸送することを見出した。このジベレリンは茎頂へ輸送され、初期成長の促進に寄与することが示唆された。

Strategy for Future Research Activity

本年度は基質であるオーキシンや、OsGA2ox3においてアロステリック制御に寄与するK308に対応する塩基性アミノ酸が多量体形成や活性にどのような効果を持つのかをMDシミュレーションを中心に解析する。このMDシミュレーションには、量子研の桜庭俊博士との共同研究により行う。さらに反応に関与するアミノ酸も特定でき、変異体による酵素活性測定などにより、今後より詳細なメカニズムを決定できる可能性がある。
さらに、ジベレリンの調節機構や輸送に関して研究が進んだことから、当初の計画にはなかったが、ジベレリンがどのように細胞伸長に関与しているのかについて水ポテンシャルに着目し、ジベレリンが植物体内の水の流れに寄与しているかを調べる。

Report

(1 results)
  • 2020 Annual Research Report

Research Products

(4 results)

All 2021 2020

All Journal Article (2 results) Presentation (2 results)

  • [Journal Article] A common allosteric mechanism regulates homeostatic inactivation of auxin and gibberellin2020

    • Author(s)
      Takehara Sayaka、Sakuraba Shun、Mikami Bunzo、Yoshida Hideki、Yoshimura Hisako、Itoh Aya、Endo Masaki、Watanabe Nobuhisa、Nagae Takayuki、Matsuoka Makoto、Ueguchi-Tanaka Miyako
    • Journal Title

      Nature Communications

      Volume: 11

    • DOI

      10.1038/s41467-020-16068-0

    • Related Report
      2020 Annual Research Report
  • [Journal Article] The Dual Function of OsSWEET3a as a Gibberellin and Glucose Transporter Is Important for Young Shoot Development in Rice2020

    • Author(s)
      Morii Minami、Sugihara Akihiko、Takehara Sayaka、Kanno Yuri、Kawai Kyosuke、Hobo Tokunori、Hattori Masako、Yoshimura Hisako、Seo Mitsunori、Ueguchi-Tanaka Miyako
    • Journal Title

      Plant and Cell Physiology

      Volume: 61 Pages: 1935-1945

    • DOI

      10.1093/pcp/pcaa130

    • Related Report
      2020 Annual Research Report
  • [Presentation] Homeostatic inactivation of gibberellin and auxin is regulated by the same allosteric mechanism.2021

    • Author(s)
      竹原清日、桜庭俊、三上文三、松岡信、上口(田中)美弥子
    • Organizer
      第62回日本植物生理学会年会
    • Related Report
      2020 Annual Research Report
  • [Presentation] イネにおけるジベレリン輸送体の同定2021

    • Author(s)
      杉原 諒彦、森井 南美、竹原 清日、菅野 裕理、河合 恭甫、保浦 徳昇、服部 将子、吉村 久子、瀬尾 光範、上口(田中) 美弥子
    • Organizer
      第62回日本植物生理学会年会
    • Related Report
      2020 Annual Research Report

URL: 

Published: 2020-04-28   Modified: 2022-04-19  

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