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助細胞胚乳融合の変異体を利用したシロイヌナズナ多精拒否機構の研究

Research Project

Project/Area Number 20H03280
Research Category

Grant-in-Aid for Scientific Research (B)

Allocation TypeSingle-year Grants
Section一般
Review Section Basic Section 44030:Plant molecular biology and physiology-related
Research InstitutionYokohama City University

Principal Investigator

丸山 大輔  横浜市立大学, 木原生物学研究所, 助教 (80724111)

Project Period (FY) 2020-04-01 – 2023-03-31
Project Status Granted (Fiscal Year 2021)
Budget Amount *help
¥17,940,000 (Direct Cost: ¥13,800,000、Indirect Cost: ¥4,140,000)
Fiscal Year 2022: ¥3,380,000 (Direct Cost: ¥2,600,000、Indirect Cost: ¥780,000)
Fiscal Year 2021: ¥2,990,000 (Direct Cost: ¥2,300,000、Indirect Cost: ¥690,000)
Fiscal Year 2020: ¥11,570,000 (Direct Cost: ¥8,900,000、Indirect Cost: ¥2,670,000)
Keywords助細胞胚乳融合 / 花粉管 / 卵細胞 / 中央細胞 / 助細胞 / 多花粉管拒否 / 多精拒否 / 重複受精 / シロイヌナズナ
Outline of Research at the Start

卵に複数の精子が受精しないように制御する多精拒否のしくみは,生物に広く保存されている.被子植物の場合,卵細胞の隣にある2つの助細胞が,精細胞の運び手である花粉管の誘引を,受精後すぐに停止することで多精のリスクを減らしている.その誘引停止に伴う助細胞の形態変化として,我々は助細胞と胚乳が融合する現象を発見した.この助細胞胚乳融合は,精細胞の放出先を受精不可能な領域へと変更する「切り替えスイッチ」として働くことで多精拒否に貢献する可能性がある.本研究では助細胞胚乳融合の変異体の解析を通じ,被子植物の多精拒否に助細胞胚乳融合がはたす役割を明らかにする.

Outline of Annual Research Achievements

本研究ではシロイヌナズナの受精後に花粉管を受け入れなかった方の助細胞(残存助細胞)が受精した中央細胞(胚乳)と細胞融合する現象である助細胞胚乳融合の発生学的意義を見出すため、助細胞胚乳融合を欠損するシロイヌナズナの変異体を取得し、その原因遺伝子の解析を行ってきた。最初に同定したCTL17はE3ユビキチンリガーゼをコードしていた。蛍光タンパク質のmNeonGreenを融合したCTL17のレポーターラインの解析から、CTL17が未受精の胚珠で発現せず、受精直後から初期胚乳で強く発現してサイトゾルと細胞核に局在することが示唆された。ctl17以外にも助細胞胚乳融合率が低下する変異体2系統について、戻し交配を5回行った後のF3世代のゲノム解析から、それぞれ数個の遺伝子を原因遺伝子の候補として絞ることができた。
受精の胚珠の花粉管誘引停止に異常を示すエチレン応答経路の二重変異体ein3 eil1では、高頻度に誘引される二本目の花粉管内容物が胚乳へと到達するDEAD-End現象が観察される。助細胞胚乳融合が残存助細胞と胚乳の間に通り道をつくることを証明するため、ein3 eil1 ctl17の三重変異体の取得を試みたが、エチレン応答欠損による稔性低下の影響で得られなかった。ein3 ctl17二重変異体でも二本目の花粉管誘引が高頻度に見られたが、残存助細胞の機能低下のためかDEAD-End現象はほとんど観察されなかった。
DEAD-End現象が抑圧された状態で二本目の花粉管から放出された精細胞が受精領域へ輸送されると仮定されると、ctl17変異体では卵細胞が二回受精する多精が起こりやすい状況にあると予想される。多精が起こると2種類の父親からゲノムを受け継いだ3倍体植物の種子が得られるため、これを検出するために種子にVenusおよびmRUBY2を蓄積するマーカーラインを整備した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

助細胞胚乳融合率が低下する変異体の原因遺伝子の同定が完了し、発現組織や細胞内局在など、基礎的な因子解析が進展した。それととともに、新規の変異体の同定もあと一歩で完了する段階まで到達している。これらの知見はシロイヌナズナにおける受精以外の細胞融合現象の分子メカニズムを理解するために重要な意味を持っている。
DEAD-End現象における助細胞胚乳融合の役割の解析では、ein3 eil1 ctl17の三重変異体の取得がうまくいかなかったことで遅延が生じたが、現在はein3 eil1 ctl17三重変異体の代わりにein2-5 ctl17二重変異体の構築が進展している。また、ein2-5 ctl17二重変異体の構築後にDEAD-End現象の抑圧による多精頻度の上昇の解析がすぐ行えるように、多精検出のマーカーラインがすでに整備されている。以上の状況を鑑み、今後もほぼ予定通りのペースで解析ができる予定であるため、概ね順調に研究が進展していると判断した。

Strategy for Future Research Activity

ctl17変異体以外の助細胞胚乳融合欠損率が低下した変異体は、原因の候補となる遺伝子がクローニング済みであり、変異体への導入が進められている。得られた形質転換体の助細胞胚乳融合欠損率の回復を調べる。同時に、これら候補遺伝子をCRISPR/CAS9によるゲノム編集で破壊するプラスミドも構築中であり、助細胞胚乳融合の欠損率上昇が見られるか調べる。これらの解析を合わせることで原因遺伝子の同定を目指す。
ein2-5 ctl17二重変異体が構築できた後は、野生株、ein2-5単独変異体、ctl17単独変異体、ein2-5 ctl17二重変異体の雌しべにプラスチドをmRUBY2でラベルした花粉を授粉することで、それぞれのDEAD-End誘導率を解析する。これまでの状況証拠からはein2-5単独変異体が示す高頻度のDEAD-Endがein2-5 ctl17二重変異体ではほとんど見られなくなると推測される。このようなctl17によるDEAD-Endの抑圧が明らかになった場合、多精についての影響も解析する。具体的には野生株、ein2-5単独変異体、ctl17単独変異体、ein2-5 ctl17二重変異体の雌しべに対して、2020年度に構築した多精検出のための2種のマーカーラインの花粉を二重授粉する。1本目と2本目での異なる遺伝子型の花粉管を受け入れて多精が生じた場合、得られた3倍体の種子はそれぞれの精細胞から伝達される遺伝子発現により、VenusとmRUBY2の両方の蛍光タンパク質のシグナルが観察される。ctl17によるDEAD-Endの抑圧によって2本目の花粉管から放出された精細胞が受精領域へと送られたなら、ein2-5 ctl17二重変異体で多精頻度が上昇すると推測される。

Report

(1 results)
  • 2020 Annual Research Report

Research Products

(5 results)

All 2021 2020

All Journal Article (3 results) (of which Peer Reviewed: 3 results,  Open Access: 3 results) Presentation (2 results)

  • [Journal Article] Persistent directional growth capability in Arabidopsis thaliana pollen tubes after nuclear elimination from the apex2021

    • Author(s)
      Motomura Kazuki、Takeuchi Hidenori、Notaguchi Michitaka、Tsuchi Haruna、Takeda Atsushi、Kinoshita Tetsu、Higashiyama Tetsuya、Maruyama Daisuke
    • Journal Title

      Nature Communications

      Volume: 12 Pages: 1-11

    • DOI

      10.1038/s41467-021-22661-8

    • Related Report
      2020 Annual Research Report
    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Journal Article] Dynamics of the cell fate specifications during female gametophyte development in Arabidopsis2021

    • Author(s)
      Susaki Daichi、Suzuki Takamasa、Maruyama Daisuke、Ueda Minako、Higashiyama Tetsuya、Kurihara Daisuke
    • Journal Title

      PLOS Biology

      Volume: 19

    • DOI

      10.1371/journal.pbio.3001123

    • Related Report
      2020 Annual Research Report
    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Journal Article] Arabidopsis GEX1 Is a Nuclear Membrane Protein of Gametes Required for Nuclear Fusion During Reproduction2020

    • Author(s)
      Nishikawa S. I., Yamaguchi Y., Suzuki C., Yabe A., Sato Y., Kurihara D., Sato Y., Susaki D., Higashiyama T., Maruyama D.
    • Journal Title

      Frontiers of Plant Science

      Volume: 11 Pages: 548032-548032

    • DOI

      10.3389/fpls.2020.548032

    • Related Report
      2020 Annual Research Report
    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Presentation] 死を回避した助細胞は新たな運命を手に入れられるか2021

    • Author(s)
      丸山大輔
    • Organizer
      第62回日本植物生理学会年会・関連集会「植物生殖改変ワークショップ」
    • Related Report
      2020 Annual Research Report
  • [Presentation] 助細胞の細胞融合現象に異常を示すシロイヌナズナ変異体の解析2021

    • Author(s)
      丸山大輔、太田かおる、須﨑大地、木下哲
    • Organizer
      日本植物学会第 84回大会
    • Related Report
      2020 Annual Research Report

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Published: 2020-04-28   Modified: 2022-04-19  

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