中枢シナプスにおけるグルタミン酸とGABA共放出の可塑性とその役割
Project/Area Number |
20H03358
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 46030:Function of nervous system-related
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
橋本谷 祐輝 同志社大学, 研究開発推進機構, 准教授 (50401906)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2021)
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Budget Amount *help |
¥17,810,000 (Direct Cost: ¥13,700,000、Indirect Cost: ¥4,110,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,000,000、Indirect Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2021: ¥5,590,000 (Direct Cost: ¥4,300,000、Indirect Cost: ¥1,290,000)
Fiscal Year 2020: ¥6,630,000 (Direct Cost: ¥5,100,000、Indirect Cost: ¥1,530,000)
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Keywords | 海馬 / 乳頭体上核 / 歯状回 / 共放出 / シナプス可塑性 / 顆粒細胞 / 長期増強 |
Outline of Research at the Start |
哺乳類の中枢神経系において興奮性ニューロンはグルタミン酸を、抑制性ニューロンはGABAを放出する。申請者は最近、乳頭体上核と海馬歯状回の顆粒細胞で形成されるシナプスにおいてグルタミン酸とGABAが共放出することを明らかにした。しかし、興奮と抑制の相反する効果をもつ神経伝達物質が同じ神経終末から共放出される生理的意義はよくわかっていない。 本研究では、乳頭体上核―顆粒細胞シナプスにおけるグルタミン酸とGABA共放出比の可塑性に着目し、興奮/抑制バランスのダイナミックな変化がシナプスや歯状回回路に与える影響を明らかにすることを目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
哺乳類の中枢神経系において興奮性ニューロンはグルタミン酸を、抑制性ニューロンはGABAを放出する。我々は最近、乳頭体上核と海馬歯状回の顆粒細胞で形成されるシナプスにおいてグルタミン酸とGABAが共放出することを明らかにした。しかし、興奮と抑制の相反する効果をもつ神経伝達物質が同じ神経終末から共放出される生理的意義はよくわかっていない。 本研究では、乳頭体上核―顆粒細胞シナプスにおけるグルタミン酸とGABA共放出比の可塑性に着目し、興奮/抑制バランスのダイナミックな変化がシナプスや歯状回回路に与える影響を明らかにすることを目指す。
本年度は、乳頭体上核―顆粒細胞シナプスにおけるシナプス可塑性の誘導および発現に関する研究を行った。その結果、乳頭体上核―顆粒細胞シナプスのうちグルタミン酸伝達に関して、繰り返し顆粒細胞を興奮させることによって長期増強が誘導されることを見出した。この長期増強はグルタミン酸伝達のうちAMPA受容体が介するシナプス応答では増強するが、NMDA受容体が介するシナプス応答では変化が起きないことがわかった。さらに短時間で2発刺激を行うpaired-pulse ratioに関して長期増強前後で変化が起きなかった。以上の結果から乳頭体上核―顆粒細胞シナプスにおける長期増強はシナプス後部の変化で起きていることが示唆された。さらに長期増強のメカニズムを調べたところ、シナプス後部でのカルシウム濃度上昇が必要であることを明らかにした。 いっぽうで乳頭体上核―顆粒細胞シナプスのGABAによる抑制性伝達に関しても調べたところ長期増強は誘導されなかった。以上の結果から乳頭体上核―顆粒細胞シナプスにおける長期増強は興奮・抑制バランスを変化させることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度の研究によって、まず乳頭体上核―顆粒細胞シナプスの興奮性シナプスにおいて長期増強が誘導されることを見出した。さらに重要なことに抑制性シナプスにおいては変化しないことを明らかにした。この結果は顆粒細胞の活動によって乳頭体上核―顆粒細胞シナプスのグルタミン酸とGABA共放出シナプスにおいて興奮性入力のみが増強する、すなわち興奮・抑制比が興奮側にシフトすることを意味する。この結果は本研究計画の基礎をなす発見であり今後、この可塑性のメカニズムと共放出シナプスの役割を調べるうえで重要であることから、研究がおおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度明らかにした乳頭体上核―顆粒細胞シナプスの興奮性シナプスにおける長期増強の分子メカニズムをさらに調べる予定である。またこの長期増強が乳頭体上核―顆粒細胞シナプスに特異的に誘導されるのか、他のシナプスでも起こるのか調べる。さらに長期増強による興奮・抑制比の変化が顆粒細胞の興奮に関してどのように作用するのか明らかにする予定である。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)