糖尿病の血管合併症におけるPericyte老化の役割の解明
Project/Area Number |
20H03572
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 52010:General internal medicine-related
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
前澤 善朗 千葉大学, 大学院医学研究院, 講師 (80436443)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
越坂 理也 千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (30466700)
加藤 尚也 千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (90841974)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥16,510,000 (Direct Cost: ¥12,700,000、Indirect Cost: ¥3,810,000)
Fiscal Year 2022: ¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2021: ¥4,940,000 (Direct Cost: ¥3,800,000、Indirect Cost: ¥1,140,000)
Fiscal Year 2020: ¥6,890,000 (Direct Cost: ¥5,300,000、Indirect Cost: ¥1,590,000)
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Keywords | 老化 / 線維芽細胞 / ポドサイト / 尿細管細胞 / Pericyte / Werner症候群 |
Outline of Research at the Start |
近年、血管壁Pericyte(周皮細胞)が、形質転換により組織の線維化や炎症を制御することが報告され、糖尿病合併症の病態形成においてもPericyteの機能異常が示唆されている。しかしながら、高齢糖尿病患者のPericyte障害における老化の関与については、未だ不明である。そこで本研究では、高齢糖尿病患者の血管合併症における、Pericyte老化の役割とその機序を明らかにする。この目的のために、遺伝子改変マウス、や早老症iPS細胞由来のオルガノイドを用いたPericyteの機能解析を行い、さらに高齢糖尿病患者のPericyteにおける遺伝子発現変化と臨床指標との関連を解析する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究においては、遺伝子改変動物や、遺伝性早老症ウェルナー症候群患者由来iPS細胞から誘導したオルガノイドを用いて、高齢糖尿病患者の血管合併症におけるPericyte老化の関与と転写因子Tcf21の役割を明らかにする。このような検討により、Pericyteの老化をターゲットにした高齢者糖尿病の新規治療法への基盤を確立する。 本年度は脂肪組織のPericyteとTcf21の役割に関して進展が見られ、遺伝性早老症ウェルナー症候群の脂肪組織から単離した、Pericyteを多く含む血管間質分画では、Tcf21発現が健常人と比較して16倍に上昇することがわかった。さらにTcf21を過剰発現すると間葉系のプロジェニターである3T3L1細胞からの脂肪分化誘導が抑制されることから、Tcf21が間葉系幹細胞の分化制御因子であることが判明した。 一方で、高齢マウス糖尿病におけるPericyteの役割を解明するために、2年齢マウスにストレプトゾトシン糖尿病を惹起し、その変化を検討したところ、やはり高齢糖尿病マウスにおいて腎臓の線維化が進行していることが判明した。さらにこのマウスモデルにおける血管の変化の解析も施行し、高齢マウスにおけるPericyteと血管内皮の減少を認めた。加えて、Pericyteからの形質転換を想定して腎臓線維芽細胞の継代老化を検討したところ、継代老化後にH3K9me3が明らかに減少すること、細胞内ヒストンそのものも大きく減少することが判明し、細胞老化によるエピゲノム変化が起こっていることが判明した。 また、ウェルナー症候群iPS細胞を用いたオルガノイドの検討を施行すべく、系の確立を行っている。現時点で、尿細管細胞などいくつかの系統への分化がオルガノイドにおいて認められており、系の確立は順調に進行している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Tcf21の老化における役割について解析が順調に進んでいること、糖尿病における腎症、血管障害におけるPericyte老化を検討するための、明らかな変化を呈するモデルシステムに目処が立ったこと、細胞を用いた継代老化や、腎オルガノイドの作成についても一定の成果が上がっていることから、概ね順調と考える。
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Strategy for Future Research Activity |
高齢糖尿病マウスの組織学的検討を続行するとともにPericyteの単離を行い、遺伝子発現プロファイルの検討、ヒストンメチル化、DNAメチル化の検討を行う。また、Pericyteの培養細胞を用いて、継代老化によるヒストンメチル化の変化を検討し、線維芽細胞で今までに得られた知見の再現が得られるか否かを検討する。これらの検討から、Pericyteにおいて老化と糖尿病によって変化するエピゲノム領域を同定するとともに、このようなEpigenetic driftをもたらしているヒストンメチルトランスフェラーゼやデメチラーゼなどのエピゲノム制御因子を同定する。この遺伝子のconditional KOマウスを作成し、その老化に伴う表現形を観察することにより、その老化における役割を解明し、治療ターゲットとしての妥当性について検証する。 一方、ヒトの老化モデルであるウェルナー症候群のiPSCを用いた腎臓オルガノイドの作成を引き続き推進し、ポドサイト、尿細管、血管などの各コンパートメントの分布に偏りがないか否か、ウェルナー症候群iPS細胞由来オルガノイドもマウス体内において腎臓として機能するか否かを、in vitro実験並びにマウスへの移植実験によって検討する。 また、倫理審査を完了させ、高齢糖尿病患者の腎臓や脂肪検体からPericyteを得る臨床システムを確立する。これらの検体を用いて、遺伝子発現プロファイルやATAC-seq, ChIP-Seqによる解析を行い、ヒト臓器老化におけるPericyte老化の役割について明らかにしていく。
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Report
(1 results)
Research Products
(18 results)
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[Journal Article] Fibroblasts from different body parts exhibit distinct phenotypes in adult progeria Werner syndrome2021
Author(s)
Kato H, Maezawa Y, Takayama N, Ouchi Y, Kaneko H, Kinoshita D, Takada-Watanabe A, Oshima M, Koshizaka M, Ogata H, Kubota Y, Mitsukawa N, Eto K, Iwama A, Yokote K.
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Journal Title
Aging (Albany NY)
Volume: 13
Issue: 4
Pages: 4946-4961
DOI
Related Report
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] Time gap between the onset and diagnosis in Werner syndrome: a nationwide survey and the 2020 registry in Japan2020
Author(s)
Koshizaka M, Maezawa Y, Maeda Y, Shoji M, Kato H, Kaneko H, Ishikawa T, Kinoshita D, Kobayashi K, Kawashima J, Sekiguchi A, Motegi SI, Nakagami H, Yamada Y, Tsukamoto S, Taniguchi A, Sugimoto K, Shoda Y, Hashimoto K, Yoshimura T, Suzuki D, Kuzuya M, Takemoto M, Yokote K.
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Journal Title
Aging
Volume: 12
Issue: 24
Pages: 24940-24956
DOI
Related Report
Peer Reviewed / Open Access
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