Project/Area Number |
20H03763
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 55030:Cardiovascular surgery-related
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
松宮 護郎 千葉大学, 大学院医学研究院, 教授 (20314312)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黄野 皓木 千葉大学, 医学部附属病院, 講師 (40375803)
松浦 馨 千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (50436375)
渡邉 倫子 千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (20766274)
乾 友彦 千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (70816503)
上田 秀樹 千葉大学, 医学部附属病院, 講師 (50738987)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥17,940,000 (Direct Cost: ¥13,800,000、Indirect Cost: ¥4,140,000)
Fiscal Year 2022: ¥4,420,000 (Direct Cost: ¥3,400,000、Indirect Cost: ¥1,020,000)
Fiscal Year 2021: ¥5,330,000 (Direct Cost: ¥4,100,000、Indirect Cost: ¥1,230,000)
Fiscal Year 2020: ¥8,190,000 (Direct Cost: ¥6,300,000、Indirect Cost: ¥1,890,000)
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Keywords | 心臓移植 / 心停止ドナー / 虚血再灌流 / Ex vivo perfusion / post conditioning / 虚血再灌流障害 |
Outline of Research at the Start |
ブタを用いて心停止下ドナーからの同所性心臓移植を行い、移植後の心機能の経時的変化および病理組織学的変化をIL-11投与群と非投与群で比較する。ドナー心が使用可能かどうかを判定する評価法を確立するために、生化学的指標の妥当性について検討する。ROSやMitochondrial permeability transition (MPT) poreの活性化、アポトーシスといった虚血再灌流障害にかかわる因子を網羅的に解析し、臨床で使用可能で感度、特異性の高い指標を確立する。
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Outline of Annual Research Achievements |
ラットを用いてDCD heartの循環停止前と同様な温阻血状態をつくり、IL-11投与群と非投与群で虚血再灌流障害の程度を比較検討した。その結果、max dP/dT, min dP/dTをはじめとした血行力学的分析の結果においてすべての時点においてIL-11グループで良好であったが、すべての心筋バイオマーカー(AST, LDH, CK-MB)に有意差は認めず、また組織病理学的分析においても心筋細胞アポトーシスの兆候を示さなかった。ところが電子顕微鏡分析において心筋ミトコンドリアの形態学的変化が観察された。対照群では、ミトコンドリアが膨張し、そのマトリックスが希釈されたがIL-11群では、内部構造が保持され、正常な心臓ミトコンドリアと形状が類似していた。温阻血再灌流に伴うミトコンドリアレベルでの障害に有意な差が認められている所見は、これまで世界的にも報告がない。そこで心筋ミトコンドリア障害について更なる評価を実施するために、ミトコンドリア細胞呼吸に関して検討を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症の流行があり、比較的多人数が密な環境で集まって実験室の中で行う大動物実験の遂行が困難であった。その代わりに小動物ではあるが、同様の条件で心停止後ドナー心に関する実験を行い、IL-11が虚血再灌流障害によるミトコンドリア機能の障害に保護的に働き、心停止後ドナー心の機能を改善させうることを示すことができた。これは今年度、施行予定である大動物実験の基礎的データとして重要であり、その機能維持の方向性をあらかじめ設定することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの小動物での実験を基盤として大動物での実験の遂行を行う。具体的な方法は以下のとおりである。ドナーとなるブタに全身麻酔を導入し、人工呼吸を停止して心停止を待つ。完全に心電図上の心停止となってから5分経過した後に開胸する。心停止から大動脈遮断までの温阻血時間は各群半数づつを20分、および30分に割りふる。大動脈遮断後に心筋保護液を徐々に加温しながら還流させ(terminal warm cardioplegia)、そののちに心臓を摘出する。この際にIL-11群では10μg/kgをcardioplegia中に添加する。 摘出した心臓は、ECMO回路と接続し37℃で持続潅流する。潅流圧は大動脈に挿入する圧モニターで監視し約70mmHgとなるよう調節する。この際にIL-11を還流液中に投与する群(IL-11群)と添加しない群(control群)を作成する。IL-11の投与量については10μg/kgとする。計4時間のEVPによる潅流時間中、30分おきに冠静脈血中の乳酸, CK, CK-MB, troponin-T, cytochrome C, cardiac thiobarbituric acid reactive substrate (TBARS), protein carbonylationを測定する。レシピエントとなるブタに異所性心臓移植を行う。再灌流後2時間経過した時点で心機能を評価する。EVP開始前、移植前、人工心肺離脱後に左室心筋を一部採取し、心筋中ATP,ADPレベルを測定する。移植後5日目に全身麻酔下に再度開胸し、上記と同様の心機能評価を行う。また血中BNPレベルを測定する。そののち犠牲死させ、ドナー心を摘出し、心筋の組織切片を作製する。電子顕微鏡にて、心筋繊維の断裂やミトコンドリアの膨化などを観察し障害程度をスコア化して評価する。
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