Project/Area Number |
20H04331
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 63020:Radiation influence-related
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
中村 麻子 茨城大学, 理工学研究科(理学野), 教授 (70609601)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2021)
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Budget Amount *help |
¥17,810,000 (Direct Cost: ¥13,700,000、Indirect Cost: ¥4,110,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,210,000 (Direct Cost: ¥1,700,000、Indirect Cost: ¥510,000)
Fiscal Year 2021: ¥3,120,000 (Direct Cost: ¥2,400,000、Indirect Cost: ¥720,000)
Fiscal Year 2020: ¥8,060,000 (Direct Cost: ¥6,200,000、Indirect Cost: ¥1,860,000)
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Keywords | H2AX / 遺伝子発現制御 / 相同組み換え修復 / 上皮間葉転換 / DNA損傷 / 相同組み換え / 発現制御 |
Outline of Research at the Start |
ヒストンH2AXは、DNA二本鎖切断(double-strand break: DSB)が生じた際に直ちにリン酸化されることでDNA損傷応答を活性化させる、いわばDNA損傷応答の初期応答マーカーである。このH2AXがクロマチン制御を介した遺伝子発現制御機能を有していることが示唆されている。本研究はH2AXがどのようなメカニズムで遺伝子発現制御を行っているのか、またその生物学的な意義は何であるかを明確にすることを最終目的としている。
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Outline of Annual Research Achievements |
DNA二本鎖切断修復において最も重要な役割を有するタンパク質の一つであるヒストンH2AXが、DNA損傷修復における足場的機能だけではなく、クロマチン制御による遺伝子発現制御機能も有することを示唆するデータが近年報告された。そこで我々は先行研究として、H2AX欠損細胞における遺伝子発現レベルの変化を、RNAシークエンスによって網羅的に解析した。その結果、驚くべきことに、DNA損傷の相同組み換え修復に関与する遺伝子の発現が有意に上昇していることが明らかとなった。さらに、これら修復関連遺伝子の発現制御を行う候補転写因子として、上皮間葉転換経路の転写因子などが同定された。そこで、本研究計画ではH2AXによる遺伝子発現制御を解明することを最終目的として、H2AXタンパク質のDNA損傷修復機構における新しい分子機能を明らかにし、DNA損傷修復経路と上皮間葉転換経路という発がんにおける重要な経路をつなぎ合わせる新しい分子ネットワークの存在を明らかにする。2020年度は以下に掲げる研究項目を実施し成果を得た。 【H2AXによって発現制御をうける相同組み換え関連タンパク質の明確化】 RNAシーケンス解析によって、H2AX欠損が18個の相同組み換え関連遺伝子の発現を上昇させることが明らかとなったことから、まずはH2AX欠損のヒト細胞およびマウス細胞でそれらの遺伝子がタンパク質レベルでも発現制御を受けているかをウェスタンブロット法で確認した。その結果、ヒト細胞とマウス細胞に共通してH2AX欠損により発現低下するタンパク質を同定した。相同組み換え関連のDNA損傷タンパク質の発現低下は細胞周期依存的であることも明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H2AXはDSB修復の初期反応に重要なタンパク質としてよく知られているが、ヒト結腸がん細胞においてH2AXの欠損が遺伝子発現変化を介して上皮間葉系転換を誘導することが報告された。このことは、H2AXがDSB修復だけでなく、遺伝子発現の制御に関与することを示している。そこで、予備的な研究としてH2AX野生型とH2AX欠損型のマウス胎児線維芽細胞のmRNA量をRNAシーケンスで網羅的に解析したところ、DSB修復経路の一つである相同組み換え修復に関連する遺伝子の発現を上昇させることが明らかになった。そして、本研究では実際に相同組み換え修復に関わるタンパク質の発現制御がH2AXによって行われているのかを明らかにした。細胞周期依存的な相同組み換え修復関連タンパク質の発現制御はH2AXに依存して行われていることを明確に示した本研究成果の意義は大きい。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルス感染問題のため研究活動が制限されたものの、H2AX欠損によって発現低下する相同組み換え修復タンパク質の同定を行うことができたことから、今後はこれらの因子の発現制御メカニズムを明確にしていく。 具体的には、先行研究で得られた標的遺伝子についてデータベースを用いたプロモーター領域の同定を行う。同定した標的遺伝子プロモーター領域のクロマチン構造の状態はクロマチン免疫沈降法(ChIP法)を用いてヒストン修飾状態を解析することで評価する。次に、我々はoPOSSUMデータベースを活用してH2AXの相同組み換え遺伝子発現制御に関与する転写因子を予測している。そこで、これら転写因子の発現や活性をRNAiや阻害剤によって抑制し、H2AXが発現制御する標的遺伝子の発現をリアルタイムPCRやウェスタンブロットで評価する。
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