Development of an innovative bunch-lengthening technique for achieving ultra-low emittance beams in the next-generation synchrotron light sources
Project/Area Number |
20H04459
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 80040:Quantum beam science-related
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
坂中 章悟 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 加速器研究施設, 教授 (20178560)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内藤 大地 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 加速器研究施設, 助教 (30788237)
山本 尚人 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 加速器研究施設, 助教 (60377918)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2021)
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Budget Amount *help |
¥17,160,000 (Direct Cost: ¥13,200,000、Indirect Cost: ¥3,960,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
Fiscal Year 2021: ¥7,930,000 (Direct Cost: ¥6,100,000、Indirect Cost: ¥1,830,000)
Fiscal Year 2020: ¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
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Keywords | 次世代放射光源 / 高周波加速 / バンチ伸長 / 高調波空洞 / 過渡的電圧変動 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、超高輝度の放射光を発生する次世代放射光源において、電子ビームの大きさ(正確にはエミッタンス)をより小さくできる新手法を開発する。次世代放射光源では、ビーム内での電子同士の散乱によりビームエミッタンスが増大するという問題点があるが、電子の集団(バンチ)を進行方向に伸ばすことで問題を緩和できる。本研究では、従来のバンチ伸長法の弱点である「過渡的ビーム負荷による高周波電圧の変動」を克服するため、新たな高調波空洞の設計研究を行い、加えて過渡的電圧変動を補償できる新手法の開発を行う。これらにより、次世代放射光源で理想的に電子バンチを伸長できる技術が実用化されると期待される。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、次世代放射光源において電子のバンチ内での散乱を抑制し、極低エミッタンスビームを実現するため、電子バンチを伸長する新たな手法を開発する。この目的のため、1) 従来とは異なるTM020共振モードを用いた高調波空洞の設計研究、2) 過渡的電圧変動のアクティブ補償技術の開発、を行っている。2020年度の研究実績は以下の通りである。 1) TM020モード高調波空洞の設計研究: 共振周波数1.5 GHzで1空洞当たり約170 kVの高調波電圧を発生でき、かつ高次モード共振によるビーム不安定性を起こさない空洞共振器の基本設計を行った。これまで課題となっていた、a) 高次モードのインピーダンスが要求値より高い、b) 入力カップラー等を付けた場合に加速用TM020モードのQ値が低下する、という2つの課題について、電磁場シミュレーションによる徹底的な最適化を行い、実用に耐える基本設計を確立した。この研究成果を第17回日本加速器学会年会とビーム物理研究会・若手の会2020で発表した。続いて、これらの計算結果が正しいことを検証するため、この基本設計に基づくモデル空洞を設計・製作した。 2) 過渡的電圧変動のアクティブ補償技術の開発: 過渡的電圧変動をアクティブに補償する為に用いるバンチ同期位相モニターの設計検討を行い、デジタル・ローレベル系と共通のダイレクトサンプリング法で検出可能であることを明らかにした。この結果を日本物理学会第76回年次大会で発表した。続いてこの手法に基づくバンチ同期位相モニター系の一部を試作した。また、過渡的電圧変動を補償する為に使用できる1.5 GHz補償空洞の基本設計を行い、その成果を第17回日本加速器学会年会で発表した。平行して、アクティブ補償を可能とするローレベルRF制御系の設計検討も行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の現在までの進捗状況は以下の通りである。 1) TM020モード高調波空洞の設計研究: 共振周波数1.5 GHzで1空洞当たり約170 kVの高調波電圧を発生でき、かつ高次モード共振によるビーム不安定性を起こさない空洞共振器の設計研究を進めている。この空洞では、加速に用いるTM020モードのQ値を損なうことなく、それ以外の寄生モードを十分に減衰させることが必要である。本研究では、電磁場シミュレーションにより空洞形状を徹底的に最適化することにより、寄生モードを十分に減衰できる設計を確立した。また、空洞に入力カップラーや周波数チューナーを取り付けた場合には、加速用TM020モードの軸対称性が破れることでそのQ値が低下することを解明した。Q値低下への対策として、入力カップラーの設計を工夫すると共に、周波数チューナーを複数個対称に配置することで、加速モードのQ値の低下を最小限に抑えられる事を示した。これらにより、実用に耐えるTM020型高調波空洞の基本設計を確立した。続いて、これらの計算結果が正しい事を検証するためのモデル空洞を設計し、その製作を完了させた。 2) 過渡的電圧変動のアクティブ補償技術の開発:バンチの同期位相を検出し、その情報をもとに最適化したフィードフォワード・パターンを出力する事により過渡的電圧変動を補償できる同期位相モニター系およびローレベル制御系を開発中である。これまでの研究で、デジタル・ローレベル系でも用いられる高速ダイレクト・サンプリング法によりバンチ同期位相を検出できる事を示し、検出回路系の一部を製作した。また、電圧補償に使用できる広帯域補償空洞の基本設計を行っている。電圧補償機能を有するデジタルローレベル系の検討も進めている。またバンチの同期位相情報を元に、どのように電圧補償パターンを最適化してゆくかのアルゴリズムについても検討を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
1) TM020モード高調波空洞の設計研究: 2021年度には、昨年度完成したモデル空洞を用いて高周波特性の測定を進め、電磁場シミュレーション結果が正しいことを検証する。特に、加速用TM020モードの特性(共振周波数、Q値)が良好であるか、また寄生モードが十分に減衰できているか、について検証する。2021年度の後半から2022年度にかけて、実機の製作に向けた空洞の機械設計、熱構造解析を進め、実機を製作できる直前の状態までもってゆく事を目標とする。実機自体の製作は、2022年度以降に、科研費以外の経費で行えるよう予算要望してゆく。 2) 過渡的電圧変動のアクティブ補償技術の開発:2021年度にバンチ同期位相モニターの残りの部分を完成させ、測定用のFPGAファームウェアの開発も行う。引き続き、2022年度にまずPFリングのハイブリッドモードでの運転でバンチ同期位相のシフトが測定できることを実証する。また2021年度には、アクティブ補償が可能なデジタル・ローレベル系の製作を行い、これを動作させる為に必要なファームウェアの開発も行う。一方、バンチの同期位相情報を元にしてどのように電圧補償パターンを最適化するかについては、主にシミュレーションにより検討を進め、その成果をファームウェアに組み込んでゆく。2022年度には、完成したデジタル・ローレベル系の試験をPFリングで行い、電圧補償の実験を進める。2023年度以降には、これらのシステムを海外の共同研究機関に持ち込み、電圧補償の実験を行う構想である。
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Report
(1 results)
Research Products
(5 results)