財政競争と財政移転制度に関する経済学的考察:分権化経済における望ましい制度設計
Project/Area Number |
20J11105
|
Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 07040:Economic policy-related
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
菊池 悠矢 名古屋大学, 経済学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2022-03-31
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 2021)
|
Budget Amount *help |
¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2021: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2020: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
|
Keywords | 財政競争 / 租税競争 / 財政移転 / 競争への参加問題 / 失業 |
Outline of Research at the Start |
20世紀後半、グローバル化が進展する中で生産要素市場の統合が進み、企業や投資といった資本の移動性が高まった。これに伴い、租税政策を通じて資本を奪い合う政府間の競争が 各国・地域間で観察されるようになった。こういった政府間の競争によって租税政策の非効率性の問題が引き起こされている。本研究では、非効率性の問題を解決する一つの手段として各国が実施する財政移転制度の効果を検証し、望ましい制度を明らかにする。特に、地域間経済格差や雇用問題が望ましい財政移転制度に与える影響に焦点を当てる。本研究で明らかにされる望ましい財政移転の制度設計は「証拠に基づく政策立案」に資する判断材料を提供することが期待される。
|
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、各国・各地域の経済状況を考慮した上で望ましい財政移転制度を分析することであった。この目的を達成するため最終年度は①財政競争への参加問題と財政移転制度に関する研究、②租税体系と公共支出構成に関する研究を行った。後者では、財政移転制度を分析する基礎となる理論モデルを構築している。 研究①では、財政競争に参加する地域数を内生化した下で、各国が実施する財政移転制度を検証した。分析の結果、地域間の財政格差を完全に是正する財政移転を実施する場合、公共政策・地域開発政策が効率的になることが明らかになった。一般に複数の政策目標を実現するためには、複数の政策手段を必要とすることが知られている。しかしながら、研究①では一つの政策によって二つの非効率性が解決されることが示されており、独創的である。 研究②では、資本流入のみならずそれに伴う雇用創出を企図する地域の政策決定を想定した理論モデルを構築し、公共部門の望ましい支出構成に関する研究を行った。公共部門の歳出面に着目した場合、政府が供給する公共支出は 2 種類に大別される。一方は効用に寄与する公共財であり、もう一方は生産に寄与する公共要素である。本研究では、政府が2種類の公共支出を供給する点に着目している。分析の結果、資本税のみ利用可能な場合、公共財は過少供給され、公共要素は過少・過剰供給されることが示された。研究②は、必ずしも公共要素から公共財への支出構成の変更が厚生を改善しないことを示した点が特徴である。 本研究課題は各国共通の政策課題である財政移転制度に着目しており、本研究によって望ましい財政移転の在り方や財政ルールが明瞭に提示された。これら研究結果は学術的貢献のみならず、望ましい公共政策を実現するための政策的知見を提供している。
|
Research Progress Status |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Strategy for Future Research Activity |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Report
(2 results)
Research Products
(7 results)