Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
本研究では、第一段階として研究開発者へのインタビューを通じて、離職後の社会関係資本の維持・断絶について定性的な調査を行い、「過去の勤務先との知識の交換」という行為がどのようなプロセスで行われているのかを問うていく。第二段階として、先行研究に倣い特許データを用いて離職者の社会関係資本が元組織に及ぼす効果を定量的に分析していく。これら段階の進捗次第では、特定の研究開発組織にアプローチし、研究員に対してサーベイ調査を実施し、どのような組織のどのような成員について離職者との社会関係資本が維持されやすいのかを調査する。
令和4年度の研究は順調に進捗した。令和3年度から従事していたレビュー論文の執筆は令和4年度校閲作業が終了し、2022年9月26日に「組織論レビューIII 組織の中の個人と集団」という題目で書籍として出版された。また昨年度末から国内の経営系学術誌において査読対応中であった研究成果についても令和4年度査読が終了し、『組織科学』2023年3月号に掲載された。これに加えて令和4年度は、研究課題について2種類の新規調査を実施した。一つ目は、科学技術振興機構が提供するResearchmapをデータ源とした日本の研究者の組織間移動と共同研究について分析した定量調査である。こちらは、得られた成果を英文でショート・ペーパーとしてまとめ上げ、イノベーションや科学技術政策に関する国際学会(Asia Pacific Innovation Conference)に投稿したところ、発表を受理され、10月に韓国で国際学会発表を行った。二つ目は、日本の特許データを用いた日系企業の人事異動とイノベーションに関する定量調査である。本調査では、発明者が組織間を移動することによる知識移転の効果に対して、組織内における配置転換がどのような知識移転効果を持つかを定量的に検証したものであり、発明者の移動(mobility)と知識移転という研究テーマについて組織間・組織内移動を組み合わせながらアプローチした。こちらは、得られた成果を博士論文としてまとめ、今後学会での報告や論文としての投稿を通して成果を更に公表していく予定である。以上のように、令和4年度は研究成果を学術的に公表する取り組みと、新規に研究成果を積み上げる取り組みの両方において進捗がみられ、本研究課題は順調に推移したといえる。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
All 2023 2022 2021 2020
All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (4 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results, Invited: 2 results) Book (1 results)
Organizational Science
Volume: 56 Issue: 3 Pages: 79-89
10.11207/soshikikagaku.20220801-1