A Critical Study of Anti-natalist Philosophy in Terms of Birth-Affirmation
Project/Area Number |
20K00042
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 01010:Philosophy and ethics-related
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
森岡 正博 早稲田大学, 人間科学学術院, 教授 (80192780)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横田 祐美子 立命館大学, 衣笠総合研究機構, 助教 (30844170)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥3,510,000 (Direct Cost: ¥2,700,000、Indirect Cost: ¥810,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
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Keywords | 反出生主義 / 誕生肯定 / モラルラック / 生命の哲学 / 生命倫理 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、「生まれてこなければよかった」という考え方を肯定する「反出生主義」の哲学を、「生まれてきて本当によかった」という「誕生肯定」の視座から批判し、乗り超えていく道を探るものである。反出生主義は、「人生の意味の哲学」の領域において、近年もっとも注目を集めているものである。申請者が提唱してきた「誕生肯定」の概念を用いて、この反出生主義に対して批判的に取り組んでいくのが、本研究の独創性である。研究手法としては、分析哲学的な概念研究と、思想史的な文献読解を二本柱とする。海外の研究者たちと連携しながら、このテーマを議論するための国際的なプラットフォームを形成し、成果は著書・論文として刊行する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、反出生主義を克服するために提唱された誕生肯定の概念について掘り下げた考察を行なった。その内容は以下の通りである。たとえ人生において破断的な出来事があったとしても、それを肯定することは可能である。第一の肯定はサバイバルの肯定である。これはトラウマ的経験をくぐり抜けていまここまでサバイバルしてきたことを肯定することである。第二の肯定はトラウマ的な経験をしたことの肯定である。これは、そのような経験を経ることによって、自分の人生に新たな地平が開かれるなどの新展開が起きることで可能になる肯定である。第三の肯定は、悲劇的な出来事が起きたことの肯定である。その出来事が起きたからこそ、いまここでのポジティブな私の生が可能になったという自覚によって導かれる肯定である。これらの中で、もっとも重要であるのは第一のサバイバルの肯定であるというのが、今年度の研究によって得られた暫定的な結論である。それを得ること自体が大きな達成であり、それを超える第二と第三の肯定は、思わぬ果実として人にもたらされる副産物であるという考え方が妥当である。そして、人生の破断をめぐるこれら三つの人生の肯定が、生まれてきて本当に良かったという誕生肯定とどのように繋がるのかを分析的に考察した。その成果は英語論文"Is It Possible to Say 'Yes' to Traumatic Experiences?: A Philosophical Approach to Human Suffering"として刊行した。今後の課題として、加害者の誕生肯定とは何かという問題が残された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画に沿って、順調に研究成果を発表できている。コロナ禍によって海外での研究発表と研究交流をすることができなかったので、次年度にそれを行ないたいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年6月にオンラインで開催される第5回「人生の意味の哲学」国際会議にて、加害者にとっての誕生肯定とは何かについて研究発表を行ない、参加者と討議を行なう予定である。その結果を生かす形で、英語論文を執筆して刊行することを目指す。また、アニメイテドペルソナに関する現象学的な研究を継続して、英語論文として発表する予定である。これらの成果発表によって、本研究の当初の目的はほとんどすべて完了することになる。
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Report
(3 results)
Research Products
(27 results)