Project/Area Number |
20K00297
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 02010:Japanese literature-related
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
近藤 健史 日本大学, 通信教育部, 研究員 (20195895)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥3,770,000 (Direct Cost: ¥2,900,000、Indirect Cost: ¥870,000)
Fiscal Year 2022: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2021: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2020: ¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
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Keywords | 三木露風 / 未公開資料 / 新資料 / 山崎新聞 / 再評価 / 宮沢賢治 / トラピスト修道院 / 大正15年以降作品 |
Outline of Research at the Start |
三木露風は、「忘れられた詩人」や「活躍は大正十五年までで、この年をもって第一線を退いた」と評され、その後の作品は注目されず近代文学史から忘れ去られてきた。 本研究は、露風が大正十五年以降の作品を寄稿していた『山崎新聞』に残された膨大な作品について,兵庫県宍粟市教育委員会社会教育文化財課と協力して整理・公開し、さらに兵庫県たつの市公益財団法人霞城館に残されている露風の自筆創作ノート・日記、手紙、書簡、写真などの関連する資料について、霞城館と協力して調査・整理・公開することで、「大正十五年以降」の三木露風の再評価を試みるものである。
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Outline of Annual Research Achievements |
三木露風の未公開作品と資料を整理・公開し、露風の文学作品とその創作活動を検証し、再評価することを目的とする。そこで露風の故郷の兵庫県たつの市の「霞城館」及び寄稿していた『山崎新聞』発刊地の宍粟市教育委員会社会教育文化財課、永住の地の東京都三鷹市スポーツと文化部芸術文化課と連携し資料の調査研究を実施した。 令和4年度の研究成果は、学会発表や講演等で報告した。特に露風夫人の未公開作品と資料を発見し、露風研究史上で初めて露風夫人について研究したことに意義がある。まず国際学会で「北海道における三木露風と愛妻なか」(8月)と題しトラピスト時代の露風となか夫人について報告した。令和4年度実施計画にあるシンポジウムは「再発見 三木露風・母かた・妻なか」(10月)を主催し、新資料による視点での研究を報告した。さらに新資料と作品の公開も兼ねた研究論文「三木露風となか夫人―詩人露風を支えた愛妻モニカ―」(3月)を発表した。 また令和3年度に実施する計画であったワークショップは、少し形を変えて宍粟市主催の宍粟学講座で「文学の郷 山崎~三木露風と『山崎新聞』~」(12月)と題し、未公開である『山崎新聞』に掲載されている三木露風・安田青風等の作品を基に山崎文壇への文学的影響について市民を対象に講演を行った。この内容は「しそうチャンネル(宍粟市テレビ)」(2月)で放映、『山崎新聞』に関する研究は『神戸新聞』(2月2日)で紹介された。 その他、露風の童謡「赤とんぼ」の創作秘話に関する直筆未公開資料を基に「三木露風の童謡『赤とんぼ』」(7月)、露風の母碧川かた発行の『女権』を女性誌と女性権利獲得運動の流れの上で位置づけた「二つあった雑誌『女権』」(10月)を雑誌に発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
三木露風に関する未公開作品と資料を調査・整理・公開し、露風の文学品とその創作活動を検証することが研究目的である。 令和2年度は、計画通りに進んだ。現地調査を兵庫県たつの市の「霞城館」、宍粟市教育委員会社会教育文化財課で実施、蒐集した資料の整理・基礎的研究を行った。三木露風が寄稿していた地方紙『山崎新聞』(全号揃った日本唯一のもの)については、破損・劣化が進んでいることから研究と保存のためにデジタル化し、DVD-Rを作成した。また、掲載されていた露風の作品を抽出してジャンルごとに分類編集しDVD-Rと目録を作成した。さらに関連する直筆作品と資料について翻刻を行った。 令和3年度は、コロナ禍のため計画通りに実施できなかったが、新発見という成果もあった。宍粟市におけるワークショップの開催は延期し、現地資料調査が困難な状況が続いたことから「三木露風と『山崎新聞』作品・関係資料目録」作成が遅れた。その目録を公益財団法人「霞城館」のホームページで公開する予定は、4月からたつの市に移管して童謡の里龍野文化振興財団となったことで再検討が必要となった。しかし、郵送等で入手した「霞城館」の資料(露風手紙控)に、露風と宮沢賢治の交流があったことを示す新発見がありNHK神戸、『読売新聞』『神戸新聞』『岩手日報』で報道された。また、露風がトラピスト修道院時代に書いた未公開随筆(直筆草稿)の発見は、『北海道新聞』で報道された。 令和4年度は、計画通り進めることが出来た。資料調査は、新たに東京都三鷹市所蔵の未公開資料を対象に加えて閲覧・スキャン作業を実施した。また、計画していたシンポジウムをたつの市「霞城館」で開催、延期していたワークショップに代えて宍粟市教育委員会主催の「宍粟学講座」で講演を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
補助期間1年の延長承認により、露風の未公開作品と資料の整理・公開・基礎的研究を継続する。例えば『山崎新聞』に関しては、同時期に寄稿していた三木露風・安田青風・中原竹鳳の作品と山崎文壇や山崎高等女学校、草の實会や雑誌『草の實』との関わりについて研究する。『山崎新聞』は、これまでまとめての閲覧が不可能であり、その掲載作品についての具体的な研究は皆無であることから重要である。また、露風の北海道トラピスト修道院講師時代の未公開の手紙控えや直筆草稿により、ほとんど明らかにされていない北海道における文学的活動について研究する。具体的には、修道院における講演、函館図書館に寄贈した高村光太郎の弟高村豊周(人間国宝)作のベートーヴェンのデスマスクや著作についてなどである。 また、新規に採択された科研費、令和5年度(令和5年度~7年度)基盤研究(C)一般「三木露風の未公開作品と資料の整理・公開及び露風の再評価に関する発展的研究」により、露風研究を継続し発展させる。具体的には、『山崎新聞』に関する基礎的研究の成果と、他に膨大に残されている未公開作品と資料の基礎的研究成果を統合・集約してデータベース化して、その全容を公開する。さらに発展的研究として、基礎的研究で蒐集した作品の質と特徴を分析し、大正15年以降の作品を対象とせずに低い評価を与えられたままの露風の見直しのため、大正15年以前の作品や評価と比較・検討して、日本近代文学史上で位置づけて「露風に新たな評価を与える」ことを目的として進める。
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Report
(3 results)
Research Products
(6 results)