墓の顕示機能の分析と墓誌の表現分析を基盤とした日中韓三カ国の文化交流の融合的研究
Project/Area Number |
20K00330
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 02010:Japanese literature-related
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Research Institution | Konan University |
Principal Investigator |
廣川 晶輝 甲南大学, 文学部, 教授 (40312326)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,420,000 (Direct Cost: ¥3,400,000、Indirect Cost: ¥1,020,000)
Fiscal Year 2024: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2023: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2022: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2021: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 万葉集 / 墓 / 古墳 / 墓誌 / 輓章 / 日中韓文化交流 / 山上憶良 / 視点 / 沈痾自哀文 |
Outline of Research at the Start |
墓は第三者(他者)に対しての顕示・アピールの機能も持つ。第三者はこの機能に呼応し死者を偲ぶ。古代幹線道に面した古墳の臨地調査研究の推進によって、如上の機能を明確に見定めたい。 廣川晶輝は韓国国立民俗博文館の臨地調査研究において、棺を乗せた御輿の前に掲げ死者の生前を称揚する漢文体の「輓章」に「哀哉」という表現を発見した。同表現は中国出土墓誌頻出の慣用表現であり、「中国出土墓誌→韓国葬送儀礼の輓章」の文化交流の発見となった。「中国-日本」「中国-韓国」「韓国-日本」の文化交流の分析の素地に基づいて、従来指摘されていない日・中・韓三カ国の古代の文化交流の様相を解明し東アジア文化交流の理解に貢献する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は墓が持つ顕示機能の分析と墓誌の表現分析を基盤とし従来指摘されていない日・中・韓三カ国の古代の文化交流の様相を解明し東アジア文化交流の理解に貢献することを最大の目的とする。文学・文化・考古学の融合的研究を確実に推進することで上記目的を達成すべく尽力している。 研究代表者廣川晶輝は中国金石文の表現が日本上代文学の表現に与えた影響を解明し日中文化交流の従来指摘されてこなかった道筋を明らかにし、廣川晶輝「山上憶良作漢文中の『再見』小考」(『甲南大学紀要 文学編 日本語日本文学特集』、148号、2007年)という結実を見た。同論考の概略は「『万葉集』の歌人山上憶良の作品「日本挽歌」の前置漢文に「再見」という表現がある。この「再見」と同じ用法の用例は中国唐で国史を監修し文化の中枢にいた武三思の「大周無上孝明高皇后碑銘并序」に検出できる。遣唐使の在唐経験がある山上憶良であるだけに、当時の唐の文化の摂取を強く指摘できる」というものである。その山上憶良の一大漢文作品「沈痾自哀文」(『万葉集』巻5)は数多くの漢籍からの表現受容を研究するための好材料となっている。今年度も山上憶良「沈痾自哀文」の表現分析を推進した。また、山上憶良の文化活動を総合的に理解するためには、山上憶良の他の作品の表現研究の推進が必須である。その実践として「悲歎俗道假合即離易去難留詩一首并序」(『万葉集』巻5)の表現分析の推進がある。今年度の研究実績としては、「戀男子名古日歌三首 長一首 短二首」という題詞を持ち山上憶良の手に成ると推定される作品を分析し、「親と子の別れ―『万葉集』巻五「男子名は古日に恋ふる歌」について―」(『甲南大學紀要 文学編 THE JOURNAL OF KONAN UNIVERSITY Faculty of Letters』173号、2023年3月)をまとめ得た点を挙げることができる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウイルス感染防止対策として古墳の臨地調査研究出張の自粛が引き続き要請された2022年度の困難な状況においても、研究調書に具体的方法として明示した、『万葉集』歌人山上憶良の表現研究を推進できた意義は非常に大きいから。山上憶良の一大漢文作品「沈痾自哀文」(『万葉集』巻5)、同じ山上憶良の漢文・漢詩作品「悲歎俗道假合即離易去難留詩一首并序」(同)の表現研究を推進できたから。「戀男子名古日歌三首 長一首 短二首」という題詞を持ち「右一首作者未詳 但以裁歌之體似於山上之操載此次焉」という左注の記述から山上憶良作品と推定される作品(『万葉集』巻5・九〇四~九〇六)の表現分析を推進できたから。そしてその研究成果を「親と子の別れ―『万葉集』巻五「男子名は古日に恋ふる歌」について―」(『甲南大學紀要 文学編 THE JOURNAL OF KONAN UNIVERSITY Faculty of Letters』173号、2023年3月)としてまとめ得たから。 オンラインミーティングツールZoomを活用した研究会を定期的に開催して研究者同士の連携をはかることができた意義も大きいから。本研究課題が研究対象とする『万葉集』は現在から1300年も昔の奈良時代の書物であり、その書物が現代に伝えられた奇跡の背景には先人達の書写作業の努力があった一方、書写における誤写等によりさまざまな形態の『万葉集』が出現してしまっている。古典文学作品を研究する際にはどの作品でも必須であるように、その対象作品のオリジナルの本文がどのような形であったのかを見定める作業、つまり「本文校訂作業」は必要不可欠である。今年度も、山上憶良の諸作品の本文校訂作業を着実に推進することができたから。そして、上記研究会において本文校訂作業に関する研究発表を実施することによって、その作業の公正性を確保できた意義も非常に大きいから。
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Strategy for Future Research Activity |
所属大学において新型コロナウイルス感染防止対策本部が解散されたことが明瞭に示すように、2023年度は臨地調査研究の実施が可能となる。 すでに研究協力を得ている群馬県安中市教育委員会教育部文化財保護課埋蔵文化財係係長(文化財保護主事)井上慎也氏の御協力のもと、古代幹線道「東山道」およびその前身である「古東山道」の要衝の地における「古墳の機能・機制」究明を目指す。その究明のためには、「後閑3号墳」「下増田上田中1号墳」の臨地調査研究が必須である。両古墳の「T字形石室」の形状は横穴式石室が幹線道を通って中央から伝播した証であるという知見をすでに得ている。つまり〈幹線道路の要衝の地における古墳の機能・機制の究明〉に適確である。同地域の古代東山道に面す「簗瀬二子塚古墳」の副葬品と韓国祭祀遺跡との関連の研究も推進させ、研究調書に具体的方法として明示したように韓国中央大学校教授具廷鎬氏の御協力のもと再度の韓国訪問が叶った際の研究の基盤とする。また、すでに研究協力を得ている奈良県生駒郡平群町教育委員会葛本隆将氏の御協力のもと、「穹窿状」石室を持つ同町の「宮山塚古墳」の臨地調査研究を実施したい。同古墳は大韓民国忠清南道の「宋山里古墳群」の5号墳の形状と酷似する。「宮山塚古墳」の臨地調査研究をとおして「韓国-日本」の文化交流の考究を確実なものとしたい。そして、文学・文化・考古学の融合的研究を確実に推進し、日・中・韓三カ国の古代の文化交流の様相の解明によって東アジア文化交流の理解に貢献する。 今後もオンラインミーティングツールZoomを活用して『万葉集』の本文校訂作業の研究会を定期的に開催する。現に2023年4月にもZoomを活用しての『万葉集』の本文校訂作業の研究会を開催し研究発表した。今後も研究者間の良質なネットワークを維持し定期的に研究会を開催し、本文校訂作業の公正性の確保に努めたい。
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Report
(3 results)
Research Products
(26 results)