平安初期歌合における和歌表現の研究-宇多院をめぐって-
Project/Area Number |
20K00358
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 02010:Japanese literature-related
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Research Institution | Kobe College of education |
Principal Investigator |
竹下 麻子 (三木麻子) 神戸教育短期大学, こども学科, 教授 (60544947)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岸本 理恵 関西大学, 文学部, 教授 (10583221)
惠阪 友紀子 京都精華大学, 国際文化学部, 准教授 (90709099)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
Fiscal Year 2022: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2021: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2020: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
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Keywords | 宇多院 / 寬平御時后宮歌合 / 是貞親王家歌合 / 寬平御時中宮歌合 / 撰歌合 / 歌合 / 撰歌合の方法 / 初期歌合の主題 / 撰歌合の撰歌意図 / 宇多院歌壇 |
Outline of Research at the Start |
古典和歌の基盤となる『古今和歌集』が成立する以前、万葉集時代からの和歌の伝統が一時分断された後に、漢字と漢文学の影響下に新たに詠み出された和歌は、どのような場で、どのように享受され、詠作されたのか。平安初期歌合という、資料的にも研究史的にも十分とは言えない先行研究を踏まえ、一つ一つの歌合で、宇多院歌壇といえる歌人グループがどのような目的で歌合を行ったのか、それが古今集的表現の確立にどのように関わったのかという視点を持って、古今集的表現の形式が確立にいたる時代の「歌合」を明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では『古今集』成立以前に、和歌表現が漢詩の影響を受けつつ、新たにどのように形成されていったのかを「歌合」に焦点を当てて考察した。 対象にした小規模の歌合の和歌を注釈する中で、特に「是貞親王家歌合」「寛平中宮歌合」は、従来のように成立時期や目的などをそれぞれに考察するのではなく、『新撰万葉集』の撰歌資料となった(同集の和歌と共通の歌を有する)という点で、『新撰万葉集』の成立に関わる歌合として総合的に主催者や成立を考察する必要を感じた。そのためには、『新撰万葉集』と最も大部の和歌を共有する『寛平御時后宮歌合』を新たに対象に加える必要があり、さらに、約200首の和歌を有する本歌合の注釈を進めた。 平安初期歌合歌の解読の中で、和歌表現という点では、『古今集』的な表現と考えられているさまざまな修辞の初出例と目されるものを抽出することができ、一方で漢語・漢詩に基づくなどして、工夫された表現のうち取捨選択される以前の多様な表現を捉えることができた。 ところが、『寛平御時后宮歌合』が大部のために、歌合の本文が断片的で、もとの「番」が不明になっているところもある。原歌合の復元が試みられてもいるが、ルールに従って『新撰万葉集』に配歌されたという事実だけに囚われては、逆に原形態を推定し誤る恐れもあることが確認できた。 『寛平御時后宮歌合』の源態に関する課題は最終段階まで到達できなかったが、宇多院周辺の歌合と『新撰万葉集』との関わりを考察する中で、なぜ、宇多院が「歌合」という形式を選んだのか、萩谷朴氏の言われる『新撰万葉集』への撰歌機関としての「歌合」という説を再検証すべきことを明らかにした。行事・和歌披講の場としての「歌合」が新古今時代に勅撰集のための集歌や撰歌の手段となったという構図ではなく、宇多院がその効果をすでに意図していたのかという点を目的に研究を継続すべきと考えている。
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Report
(4 results)
Research Products
(3 results)