Project/Area Number |
20K00480
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 02040:European literature-related
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Research Institution | Senshu University |
Principal Investigator |
根岸 徹郎 専修大学, 国際コミュニケーション学部, 教授 (90349176)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2022: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2021: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | フランス文学 / フランス演劇 / 日仏交流 / フランス文化外交 / 文化外交 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、1920年代に駐日フランス大使として東京に赴任し、詩人大使として日本人から親しまれた詩人・劇作家ポール・クローデルの活動全体を検証することによって、20世紀前半から活発化するフランスの文化外交とアジア、日本との関わりを具体的に探るものである。さらに、日本におけるクローデル受容とクローデルを通したヨーロッパにおける日本の理解を明らかにすることで、文化交流の面から、詩人大使クローデルの果たした役割を解明する。その上で、その根底にある文化を中心としたフランスの外交のあり方を探るものである。
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Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、主として本研究に必要な資料の収集を中心とした作業を中心に、研究活動を遂行した。具体的には、研究対象であるポール・クローデルの滞日期における日本の文化的な動向について、関西(神戸・京都・大阪)ならびに東北における資料調査を実施し、一定の成果を上げた。とくに本年度から京都大学人文研究所の研究者との交流を開始し、19世紀末から20世紀にかけての文化研究に関する知見を得ることができたことは、本研究にとって重要なステップを進めることに繋がっている。 成果の発表としては、研究発表3本と論文3本の公表を行った。 研究発表は2023年6月に慶應義塾大学で開催された日本フランス語フランス文学会の春季大会において、クローデルの演劇に関わる発表を日本クローデル研究会で行った。さらに8月にはベトナムのハノイで行われた専修大学とベトナム社会科学院との共催による国際シンポジウムにおいて、フランスの極東政策と文化外交の関わりに関する考察を発表した。最後に11月にジャポニスム学会主催の国際シンポジウム(「動き」の中のジャポニスム)において、1920年代のポール・クローデルの日本における文化活動の総括を中心とした学会発表を行った。なお、この発表を基にした論文を同学会の機関誌に掲載する準備を現在、行っている。 論文3本に関しては、まず専修大学現代文化研究会の年次報(「現文研」)にクローデルと当時の日本人との親交を検証した論考を発表した。さらに日本クローデル研究会の機関誌に、1920年代の日本におけるクローデルのカトリック布教の理念と動きについての論考を発表した。本論考はとくに日仏交流史を念頭に置きつつ、本研究の最終的な成果発表において重要な意味を持つことになるものであると考えている。 また、刊行された論文集(『クローデルとその時代』に、文学・演劇研究関連の論考を1本発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現在までのところ、研究の進捗状況はやや遅れている。理由としては2点を挙げることができる。 1点目は、新型コロナウイルス感染症がある程度まで終息し、資料収集を行いやすい環境に戻りつつあるとはいえ、まだ新型コロナ以前にまで自由に海外渡航や国内の移動ができる状況に戻ったとは言い難く、とくにフランスに行って現地の図書館、文書館等で行うべき資料調査が、航空券や円安による滞在費の高騰などもあり、十分に行えない状況にあり、2023年度は主として国内における資料収集に専念したことが挙げられる。ただし、国内における資料収集および専門家との意見交換、成果発表は、関西方面の資料に関しては順調に進んでおり、この点についての進捗状況はある程度まで問題がないと考えている。 2点目は所属機関における役職が重くなったことの関係で、本研究に割くエフォートを減じざるを得ない状況になったことが挙げられる。とくに現在の役職では長期の海外出張が難しくなったために、予定していたフランスでの資料収集を行う計画を立てることが困難になったことから、この点での進捗状況に遅れが出ている。ただし、インターネットによる研究者との情報交換等は継続して実施しており、今後の研究の遂行に向けた準備は進んでいる。 そうした中、本年は研究成果として論文3本(うち2本は雑誌掲載、1本は刊行図書に所収の論考)発表し、3本の研究発表(内2本は国際シンポジウム)を行った。 今後の予定としては、長期の渡仏は難しいにせよ、フランスにおける資料収集を中心とした研究継続の準備を進めることで、最終的な成果発表に向けた段取りを立て、研究継続に向けた取り組みを行っていく。
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Strategy for Future Research Activity |
現在の研究の進捗状況はやや遅れているために、今後はその遅れを取り戻す予定である。具体的には、新型コロナウイルス感染症の蔓延によって遂行するのが難しくなっていたフランスにおける資料収集を遂行し、その際にフランスおよび日本の専門家とコンタクトを取りつつ、必要な資料の特定を進める。とくにフランスの文化政策については、フランス極東学院関連のものが未整理であることから、この部分の資料を整備することを重視していく。 次に、成果公表の場として、研究会ならびにシンポジウムの開催を準備する。とくにシンポジウムに関しては、可能な範囲で国際シンポジウムに近づけ、分野横断的なテーマをたてることで、発表する成果に深みをあたえることを目指す。現在、フランスからの研究者の招へいを検討中である。 最後に、成果発表として論文の公表ならびに成果物としての書籍の刊行を視野に入れた計画を立て、準備を進める。ベースとなる論考はすでにあり、現在はそれを再検証しながら、本研究の成果を盛り込みつつ、研究の精度と深みを高めている段階にある。とくにクローデルと関西ならびに京都関連の資料で新たな証言やテーマが本研究遂行の過程で浮かび上がってきていることから、それらを十分に取り入れた成果をまとめる必要が生じている。本研究の重要なテーマである「文化外交」における言語教育の発展とフランス・日本の関係を視野に入れた検証を今後の重要な研究の柱の一つとして進めていく計画である。
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