ロシア資料による日本語音韻史における音韻化・異音化についての機能論的研究
Project/Area Number |
20K00630
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 02070:Japanese linguistics-related
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Research Institution | Yasuda Women's University (2022) Okayama University (2020-2021) |
Principal Investigator |
江口 泰生 安田女子大学, 文学部, 教授 (60203626)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥2,210,000 (Direct Cost: ¥1,700,000、Indirect Cost: ¥510,000)
Fiscal Year 2022: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2020: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
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Keywords | 上二段 / 形状言 / オ乙 / 活用種 / ロシア資料 / 開合 / ウ段長音 / 中村柳一 / 下二段動詞 / ア-エ乙交替 / 異音 / 語種分別 / ゴンザ / レザノフ / タタリノフ / 古代日本語 / 音韻 / 日本語音韻 / 機能論的研究 / 形態音韻 |
Outline of Research at the Start |
異音の音韻化について。長音は感動詞・オノマトペなどの周辺語彙に存在し、これが漢語、和語へと使用範囲を拡大させたと考える。促音は無声化、促音化を経て、語種分別の機能をもつことで音韻化した。ク音は破擦音と破裂音の条件異音であったが、そこから合拗音と破裂音が生じ、合拗音はオノマトペ→クイ音→漢字音の順に展開した。 音韻の異音化について。四つ仮名は語頭破擦、語中尾摩擦音で分布していた。ザダ行の混同はdとdзの間で異音関係となった。上代語エ列甲乙は口蓋化の有無により、その後、異音関係となって合流した。 このように異音の音韻化、音韻の異音化、そしてそれらが果たす機能について研究したいと考えている。
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Outline of Annual Research Achievements |
「上代日本語の上二段動詞の成立と史的展開」を『安田国語国文論集』に掲載した。これまで別個に考察されてきた上二段動詞(以下、上二段とよぶ)の形態論的な特徴と、上二段の意味・対応語の偏りの特徴と、この二者を対象にして統一的に説明することを試み、さらに上二段の史的展開について説明してみようとしたものである。 上二段の本体にはオ乙が出現することが多い。このような観点から上二段やその周辺語彙をみてみると、以下のようにオ乙+オ乙の形容詞語幹(擬音語を含む)・名詞に対応していることに気づく。 おく(起)~おこ2こ2し(沈毅)於己々々之(私記丙本)/おつ(落)~おと2(弟)/おづ(怖)~おど2ろ2於止呂(新撰字鏡)/おふ(生)~おほ(大)/おゆ(老)~およ2し(年寄った)/おる(下)~おろ2か/こ2む(籠)~こ2も2(薦)/こ2ゆ(臥)~コ2ヨ2が期待されるが文献例ナシ/こ2ゆ(凍)~こ2ご2し(凝)/こ2る(懲)~こ2ろ2し(殺す)、こ2ろ2ふ(叱)/と2づ(閉)~と2ど2(戸を叩く擬音語)/よ2づ(攀)~よ2ど2(淀)/よ2く(避)~よ2こ2(横)/をつ(変若)~をと2(遠)/おそ2る(怖)~お2そ2ろし(怖)/そ2ぼ2つ(漏)~そ2ほど2(案山子) 松本克己1995はО~I~Uと活用する活用種(活用の種類をこのように呼んでおく)のカ変(サ変も)と、その一系としてОの交替母音イ乙を持つ活用種があったとし、それに上二段を位置させている。この論文では上二段の意味的な偏り・語彙的な偏りを説明するために、上二段はオ乙+オ乙を持つ形容詞語幹(擬音語を含む)・名詞から生じたと考えた。そういう意味では、きわめて語彙的な制限のある活用種として想定してはどうかと提案してみた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍によって調査や学会発表が滞ったこと、岡山大学から安田女子大への異動によって引っ越しや書籍の整理整頓に時間と体力を削られ、生活リズムがうまく整えられなかったことによるが、それらも次第に慣れてきて、克服できてきたので、これからペースを戻したいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
オ列の交替現象について考えていることを纏めたい。また音韻を意味を区別する単位というだけでなく、語種の偏在なども考慮に入れて、日本語音韻について再構築したいと考えている。四つ仮名の合流などは語種において(特に漢語において)障害をもたらしたはずであるし、開合の合流は形態(連母音)の区別に大きな障害をもたらしたはずである。このように複層的な観点から日本語史を再構築したいと考えている。
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Report
(3 results)
Research Products
(12 results)
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[Book] 筑紫語学論叢Ⅲ2021
Author(s)
筑紫日本語研究会
Total Pages
518
Publisher
風間書房
ISBN
9784759923735
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