Syntactic approach for modality of Japanese language
Project/Area Number |
20K00646
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 02070:Japanese linguistics-related
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
宮崎 和人 岡山大学, 社会文化科学学域, 教授 (20209886)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥2,730,000 (Direct Cost: ¥2,100,000、Indirect Cost: ¥630,000)
Fiscal Year 2023: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2022: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2021: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
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Keywords | モダリティ / 構文論 / 可能文 / DEONTICな可能 / 可能性 / 恐れがある / 危険がある / 懸念がある / 文法論 / 日本語 |
Outline of Research at the Start |
研究の深まりが実感されなくなっている最近の日本語のモダリティの研究に今必要なのは、モダリティの中核的概念が何であるかを見極め、文法論全体におけるモダリティの位置づけおよび研究対象を再検討し、新たなフォーマットで日本語のモダリティの記述を行うことである。本研究では、モダリティの中核的概念を「現実性」(文の内容としての事象と現実との諸関係)とすることで、モダリティを文末形式に還元する「形態論的アプローチ」から、モダリティの契機を事象に求め、テンポラリティやアスペクチュアリティといった隣接するカテゴリーとの関係を重視する「構文論的アプローチ」への転換を図り、新しい枠組みにもとづく記述を実践する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、まず本研究課題の出発点となる文法論の考え方やそれにもとづくこの二年間の研究実践について、四川外国語大学景星講壇第二講の招待を受けて講演を行った。 次に、前年度までに行った客観的モダリティとしての可能文の研究の展開として、POSSIBILITY(論理可能)の「することもありうる」がDEONTICな側面をもつことを実際の使用例にもとづいて記述した。この用法の一部は若者言葉として指摘されることがあるが、「することもありうる」のDEONTICな側面は小説や新聞記事での使用にも見られ、また否定形式だけでなく肯定形式にも見られることから、論理可能からDEONTICな可能への法則的な意味拡張の現象として注目される。 このほか、本年度は、2022年度東アジア国際言語学会第10回大会シンポジウムにおいて、先般、奥田靖雄著作集補遺編が刊行されたことを受け、奥田がシヴェードヴァ説の批判的な検討を通して主観的モダリティと客観的モダリティをたてるにいたった経緯や、奥田の「おしはかり」論文から学ぶべきことを解説し、さらに、それらを踏まえてモダリティ研究の新たな段階とは何かについて論じた。 さらに、日本語学会からの依頼により、林淳子氏の『現代日本語疑問文の研究』の書評の執筆を行った。疑問文は本研究課題の対象ではないが、構文論としての疑問文研究という視座をもつ本書は、本研究課題と問題意識を共有しており、著者の「誘発」「応諾反応要求」といったカテゴリーを再検討することを通して、疑問文の体系化に関する議論を前進させることができるという見通しを得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究期間の前半の二年間は、ほぼ計画通りに研究を進展させることができ、それを受け継ぐ形で、本年度は、構文論研究としてのモダリティ論という本研究課題の原点を確認し、その実践としてのモダリティの観点からの可能文の研究を総括するなど、研究期間の前半の成果を公表する活動や、奥田靖雄の構文論研究の段階的発展について研究史的な意義を確認したり、疑問文に対して構文論的アプローチを行っている研究書の書評の執筆を通じて次の段階への着想を得るなど、研究の幅を広げるための活動をいくつか行うことができたことは大きな収穫であった。個別課題として、POSSIBILITY以外の客観的モダリティを次々に記述していくことはできなかったが、従来日本語の研究においてはほとんど指摘がない、EPISTEMICなものとDEONTICなものとの交渉に関する事実を「することもありうる」の使用の中に見出すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は、計画では、認識的モダリティへと研究対象を拡張していく予定であったが、これを別課題とし、最終年度はむしろ、本研究課題の核心に関する考察を深化させ、よりまとまった成果を残して研究期間を終えるよう、計画を修正したいと考える。具体的には、分析的な可能性表現の中でももっとも一般的な形式である「~可能性がある」や、EXISTENTIAL MODALITYや時間的なありか限定に関する意味を表す形式の代表である「することがある」について記述的な研究を行う。また、文法学会のワークショップ「日本語のモダリティ」に指定討論者として参加する予定であり、そこでは、本研究課題の立場から主流派のモダリティ論者に対して質問や意見表明を行いたいと考えている。
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Report
(3 results)
Research Products
(7 results)