日本語母語話者の事態描写の「型」に即した「学習にやさしい英語」の研究
Project/Area Number |
20K00794
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 02100:Foreign language education-related
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Research Institution | Kansai University of International Studies |
Principal Investigator |
伊藤 創 関西国際大学, 国際コミュニケーション学部, 教授 (90644435)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
仲 潔 岐阜大学, 教育学部, 准教授 (00441618)
岩男 考哲 神戸市外国語大学, 外国語学部, 教授 (30578274)
藤原 康弘 名城大学, 外国語学部, 教授 (90583427)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2024: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2022: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2021: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
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Keywords | 事態把握 / 国際英語 / 自動詞 / 他動詞 / 事態描写 / 日本人英語 / 動作主焦点と被動作主焦点 / 受け身文の過剰な産出 / 自動詞文の抑制 / 学習にやさしい英語 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、構文レベルにおける日・英語の事態描写の違いに焦点をあて、日本語を母語とする英語学習者が、母語での事態描写のあり方に即した形で英語表現を構成できるような、より自然で低負担、効率的な英語学習法を提案しようとするものである。 そのために、学習者・教科書データ、英語・国語教科書・教材の分析から、1)日本語母語話者の英語に見られる構文的な特徴、2)それらが日本語のどのような事態把握・描写に基づいているか、3)どのような過程でその描写の「型」が形成されるのか、を明らかにする。その上で、4)日本語母語話者の事態把握の型を生かした形で英語表現が産出できるような教材試案を作成、その効果検証を行う。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、「母語における事態の捉え方・描き方に基づいた自然な形での目標言語の習得」について、以下の3つの問いについて分析・考察を行うものである。すなわち、①日本語母語話者の事態の捉え方・描き方に基づいた自然な英語とはどのようなものか、②英語教育の現場で用いられている教科書・教材においては、日・英語母語話者の事態の捉え方・描き方の違いが、どの程度、どのような形で学習者に提示されているか、③英語教育の教科書・教材は、日本語母語話者の自然な事態の捉え方・描き方に基づいた英語を涵養するように構成されているか、の3点である。 本年度は、①については、非典型的な非対格自動で描かれる事態は「他者によって引き起こされた事態」であるにも関わらず、それを自律的な事態として自動詞で描くことは学習者の直感に反すること、それゆえに自動詞での表現(すなわち産出)が抑制されることを明らかにした。さらに、この傾向は、英語学習者だけでなく、日本語学習者においても見られることも明らかになった。これらの結果から、特定の種類の自動詞表現の難しさ(それによる産出の抑制)は、 通言語的に見られる現象である可能性が示唆された。また、本年度は、これら動詞文の習得に加えて、名詞文(とくに日本語の一つの特徴とされる「うなぎ文」)についても、英語での産出の傾向を分析し、特に英語学習者において、英語力によってどの程度産出度合が異なるのかを検証した(結果は端的に言えば、英語のレベルに関わらず産出が少ない、というものであった)。これらの研究結果は、日本コーパス言語学会、「アジア英語」学会、アジア未来会議にて発表を行った。また、②③に関しては、「国際英語」という視点から多様な英語を考える際に、母語の影響がより詳細な議論がないままに自明視されてしまっている可能性について、「アジア未来会議論文集」および「社会言語学」において指摘した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた英語母語話者の データ収集は、コロナの影響で遅れてしまっているが、一方で、日本語学習者や日本語母語話者以外の英語学習者のデータを学習者コーパスから分析することができた。次年度予定している分析に進むには十分なデータが得られたと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
およそ計画通りに進めることができている。次年度は、「学習にやさしい英語」の教材はどうあるべきか、を考察するため、教授法の試案作成に取り組む予定である。また、 日本語も、話者以外の英語学習者の産出データを引き続き収集し、できるだけ通言語的な観点から「学習にやさしい英語」を考察する予定である。
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Report
(3 results)
Research Products
(24 results)