近現代日本における生業と生活世界に関する実証的研究
Project/Area Number |
20K00946
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 03020:Japanese history-related
|
Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
沼尻 晃伸 立教大学, 文学部, 教授 (30273155)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
|
Budget Amount *help |
¥3,510,000 (Direct Cost: ¥2,700,000、Indirect Cost: ¥810,000)
Fiscal Year 2023: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2022: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2021: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
|
Keywords | 生業 / 生活世界 / 山葵 / 石工 / 日記 / 主婦 / 家族周期 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、20世紀の日本を対象とし、日記史料を用いて人々の生業と生活世界を動態的に解明することを課題とする。具体的には、多様な生業を総体として解明し、矛盾をかかえつつもそれらを可能とした家族内分業と種々の社会関係及び市場的関係を究明し、生活世界を追究する。そのうえで、恐慌や戦争などに直面するなかで、生業は生活維持の営みとしての意義をどのように有したのか否かを解明し、同時に生業と生活世界の歴史的変化を明らかにする。
|
Outline of Annual Research Achievements |
本年度における研究実績は、以下の3点にまとめることができる。 第一に、図書館や公的機関への資史料収集調査である。本年度も新型コロナウイルス感染拡大の影響で、個人宅への資史料調査や直接面会しての関係者への聞き取り調査が実施できなかったため、既に収集し翻刻した静岡県山間部に居住した人物が残した日記(『鉄五郎日記』)の分析から得られた知見をさらに深めることを目的として、日記以外の山間部の生業と生活世界に関連する資料の収集を公共図書館や公的機関などで行った。また、女性からみた生活世界の歴史に関連する資史料の収集を、立教大学共生社会研究センターなどで行った。同時にこれらの資史料の翻刻とデータ整理を行った。 第二に、『鉄五郎日記』を用いた戦間期から戦時期にかけての研究成果の発表である。1920年代から1930年代に関しては、『日本史研究』に論文を発表した。そこでは、自給性と商品生産の二つの性格を有する生業の具体像を明らかにするとともに、生業と生活(妻の妊娠や出産など)との緊張関係が生じた際、鉄五郎は妻の仕事を代替するなどの対策を取ったが恐慌期にはこのような対策が取り難かった点、家族のケガや病気が多発した時期には鉄五郎は生業よりも生活を優先した点、生業と生活との緊張関係をサポートする重層的な諸関係が集落に存在した点などを明らかにした。戦時期に関しては、学会発表を行い、応召や物資の供出などの戦時動員により、生業と生活を支えた種々の関係性が動揺し、アジア・太平洋戦争末期にそれらは再編されていった点などを明らかにした。 第三に、男性の記した資史料とは異なる、女性の記した史料からみた生活世界に関する実証研究に関して学会発表を行った。高度経済成長期から1970年代にかけての地域社会のなかで主婦が創出しようとした生活世界の具体像を追究し、その歴史的意義を明らかにした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナウイルス感染拡大のため、日記史料に関する個人宅への資史料収集調査・聞き取り調査が実施できない点での遅れは生じている。そこで、昨年度より、研究計画を部分的に変更し、既に収集した日記史料の分析から得られた知見をより深めるため、公共図書館や公的機関などにおいて日記史料に関連する資史料収集調査を行い、検討を進めた。また、女性自らが記した資史料収集を研究代表者の所属大学にあるアーカイブズや図書館などにおいて実施し、これらの資史料の検討を通じて、これまで収集した日記史料とは異なる視点から生活世界の検討を行うなど、当該テーマを広げつつ発展させることを試みた。その結果、本年度は複数の研究成果を発表することができ、今後の研究への見通しが一定程度得られたため。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策としては、以下の3点を予定している。 第一に、近現代における生業と生活世界に関する実証が可能となる史料及びその周辺資史料に関する調査を行う。これまで収集した日記史料に関連する資史料の収集調査や聞き取り調査をさらに進めるとともに、これまで検討してきた日記史料の比較対象として、都道府県文書館などにおける所蔵史料データベースの検索により所在が確認されている日記史料に関する調査とその周辺資史料に関する調査を実施する。また、女性の記した資史料を用いた生活世界に関する調査を、所蔵が確認される各地の図書館・文書館などで行う。なお、新型コロナウィルスの感染は完全に収束しているわけではないので、個人宅での調査(特に高齢者への聞き取り調査)に関しては、先方の意向に十分配慮し、可能な範囲・形式で限定的に実施することとする。 第二に、RAやアルバイターの研究補助を得て新たに収集した資史料を分析し、実証研究の成果を発表する。 第三に、この間の実証的成果に基づいて得られた、ミクロ的に生業と生活世界を追究する際の方法論について追究する。「家」論や内外の家族史研究と関連させつつ、本研究の実証から紡ぎ出される新たな研究視点と方法を検討する。
|
Report
(3 results)
Research Products
(5 results)