Project/Area Number |
20K01044
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 03040:History of Europe and America-related
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
大谷 哲 東海大学, 文学部, 准教授 (50637246)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2021: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
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Keywords | 殉教者 / キリスト教 / 教会 / 教会史 / エウセビオス / 殉教 / 歴史叙述 / ローマ帝国 / キリスト教会 / 殉教者崇敬 / 古代末期 / 初期中世 / 中世ヨーロッパ |
Outline of Research at the Start |
外部からの軍事・政治的圧力が強まる共同体では、自己のアイデンティティ保全の欲求が高まる傾向があることが推測され、その結果、そのような社会状況下でなされた歴史叙述からは、アイデンティティ強化のための「過去の利用」と改変が行われる傾向が比較的容易に読み取れることが予測される。本研究はこうした予測に基づき、末期ローマ帝国の辺境地域に住むキリスト教徒共同体が外部からの圧力を感じた際に、「殉教者教会」としての帝政初期ローマ帝国におけるキリスト教会の歴史が、各地域・時代の要請に合わせ書き換えられ伝承される状況を抽出して分析し、中世西欧キリスト教社会のアイデンティティ形成に与えた影響を解明する。
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Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、本研究プロジェクト内で進めてきた成果の一部を論文として発表することができた(大谷哲「イエスの親族と初期エルサレム教会-ダビデの系譜伝承の検討を通じて-」『西洋史研究』新輯52号、2023年、1-21ページ)。初期キリスト教教会が迫害される存在として自己規定を行う「殉教者教会」観念を展開し、それが中世キリスト教社会に継承され、キリスト教会のアイデンティティを構築したことを解明する本研究プロジェクトにおいて、実際の歴史上、キリスト教会指導者がどのような展開をしたかと併せて教会史史料叙述を分析し、信頼できる歴史上の出来事を抽出する作業は重要な貢献をなす。また、本研究プロジェクトが本邦、また国際レベルでの研究潮流でどのように位置づけられるかを確認するためにも、「書評:Hugo Mendez, The Cult of Stephen in Jerusalem: Inventing a Patron Martyr. Pp. xiv + 175. Oxford: Oxford University Press, 2022. $90.00. ISBN 9780192846990.」『西洋古典学研究』 71巻、2024年2月、119-121 「書評 松本宣郎著『初期キリスト教の世界』」『歴史』141号、2023年10月、110-117ページを刊行できたことを研究実績として報告したい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウィルスの世界的蔓延を受け2020年度から延期・中止を経てきた国際学会は次第に再開されたものの、本研究プロジェクト着手時に参加を計画してきた国際学会は完全に再開されておらず、あるいはオンライン上で開催されるなどして、国際学会参加スケジュールに乱れが生じ、完全に解消はできなかった。2023年度は延期されていた国際学会1件に参加できたにとどまる。また、研究代表が所属する研究機関の改組に伴い、2023年度の研究費執行にいささか遅滞と混乱生じてしまったが、この問題は所属機関関係各位の努力により現在解決に向かっている。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウィルスの世界的蔓延を受けて生じた、主に国際学会に参加できなかったことに起因する研究スケジュールの乱れは、研究期間の延長申請が受け入れらたことで調整が可能となった。上述の理由で研究スケジュール着手時に計上していた渡航費用予定に乱れが生じたが、その分、英語論文校閲費用などに余裕ができ、国際学会誌への論文投稿準備を進めていくことが可能となっている。
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