トレハロース含浸処理法を用いた草原地帯出土彩色木製文化財の保存研究
Project/Area Number |
20K01114
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 03060:Cultural assets study-related
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Research Institution | Osaka City Cultural Properties Association |
Principal Investigator |
藤田 浩明 一般財団法人大阪市文化財協会, 学芸部門, 室長 (50344403)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
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Keywords | トレハロース / 彩色木製文化財 / 草原地帯 / 保存処理 / 技術移転 / 出土彩色木製文化財 / 半乾燥状態 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、草原地帯で出土する広範な有機質遺物、とりわけ彩色の施された遺物に対するトレハロース法の有効性を検証し、適正な保存処理方法の確立を目指す。さらに、現地保存科学者との研究協力・技術移転を図ることで、同地域における文化財保存の礎を築くことができ、保存処理が永続的に行なわれることが期待できる。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、草原地帯で出土する広範な有機質遺物、とりわけ彩色の施された遺物に対するトレハロース法の有効性を検証し、適正な保存処理方法の確立を目指した。さらに、現地保存科学者との研究協力・技術移転を図ることで、同地域における文化財保存の礎を築き、保存処理が永続的におこなわれることも念頭に置いて、研究を実施した。 出土彩色木製文化財の保存処理をおこなう場合、彩色部分と木胎部分双方を同時に維持する必要がある。よって、含浸薬剤としてのトレハロースが彩色に与える影響と適切な含浸方法を検討するために、モンゴルに赴いて、出土彩色木製文化財の調査と当該資料の劣化状態の調査をおこなった。その後、調査結果を踏まえ、トレハロースを用いた適正な保存処理方法を検討した。含浸処理を実施するにあたり、まずは含浸薬剤としてのトレハロースが、彩色部分の変色等、悪影響を及ぼす可能性の有無を確認するために、確認試験をおこない、良好な結果を得た。保存処理については、土付き遺物等の処理で実績のあるトレハロース法による「半浸漬法」に着目し、通常実施している資料全体を浸漬する方法と半浸漬法の比較実験をおこなった。浸漬、半浸漬の重量変化率を比較すると、半浸漬のほうが重量増加のスピードは遅いものの、変化率に大きな差は認められなかった。このことから、半浸漬においても、資料全体を浸漬させた場合と同様の含浸効果があると考えられる。 研究期間中に行なうすべての調査、実験については、その手法や技術をモンゴルの保存科学担当者に移転することを念頭において実施した。また、トレハロース法の効果を実体験するために、現地担当者を日本に招き、複数回にわたり研修をおこなった。同国における若手担当者に対する研修を実施できたことで、トレハロース法によって多くの有機質遺物を保存処理してきている我々の技術・経験を現地の研究者に移転することができた。
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Report
(4 results)
Research Products
(3 results)