戦後日本の革新勢力とアジアにおける社会党ネットワーク――1950~70年代
Project/Area Number |
20K01522
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 06020:International relations-related
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
神田 豊隆 新潟大学, 人文社会科学系, 教授 (70609099)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,380,000 (Direct Cost: ¥2,600,000、Indirect Cost: ¥780,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
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Keywords | 日本社会党 / 右派社会党 / 社会主義インターナショナル / アジア社会党会議 / 講和論争 / 社会民主主義 / 民社党 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、主に1950年代から70年代を対象として、日本社会党・民社党の役割を軸に、アジアにおける各国社会党のネットワークの歴史を論じることを目的とする。従来、戦後日本外交史の分野においては、革新勢力を対象とする研究は少なかった。国際関係史・冷戦史の分野でも、社会民主主義勢力の国際ネットワークへの関心は希薄であった。 とりわけ本研究は、次の問いを考察する。「米ソ双方と一線を画す社会民主主義を奉じて連帯を図ったアジアの社会党ネットワークは、いかなる多国間協力のあり方を模索したのか」。その中で「日本の革新勢力はどのような役割を果たし、いかなるアジア秩序の姿を目指したのか」。
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Outline of Annual Research Achievements |
2023年度においては、本研究に関するものは1本の論文を公刊した。書誌情報などは別記の通りである。 当該論文は、1950年代前半のいわゆる右派社会党について、その対中外交論の背景を論じたものである。その際、西欧を中心に結成されていた社会主義インターナショナルや、アジア社会党会議といった、国際的に組織された社民ネットワークにおける議論とも結びつけた考察を行った。 その内容は、概ね次の通りである。右派社会党(右社)は、革新勢力の一角として、保守政権が台湾の国民党政権との講和に踏み切り、共産中国との関係を犠牲にしたことを批判した。だが右社も、彼らの有していた強烈な反共主義を一つの背景として、当初は共産中国への接近に慎重であった。右社の共産中国への警戒は、彼らが国際的な提携関係を持ち、しばしば模範視していた西欧の社民勢力やアジアの社会党の多くを上回るものでさえあった。ただ、その後東西冷戦の「雪解け」が進展していくと、右社は新たな国際環境認識に基づいて、台湾問題や東アジア地域秩序のあり方をめぐる独自の主張――後者については、いわゆる「新ロカルノ」構想――を展開しつつ、徐々に対中承認に前向きになっていった。右社のそうした主張は、1955年の左右社会党の統一時の合意にも反映された。この論文は、以上のような対中外交論の検討を踏まえて、右社の外交論は従来理解されてきたよりも、固有の思想的背景と主体性を持っていたことを示したものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
COVID-19パンデミックからの負の影響は全て払拭できてはいない、特に海外における資料調査の遅れを取り戻すのに苦心している。ただ、オンラインでの請求などを駆使し、いくつかの重要文書を入手することには成功した。また2023年度は豪州などでの資料調査も行うことができ、パンデミックの負の影響は縮小できたともいえる。関連する研究成果としては1本の論文の公刊に留まったが、刊行が決定している論文や、予定している学会報告などはあり、アウトプットについても進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も最も重要になるのは、とりわけ海外のアーカイブにおける資料収集である。パンデミックの影響は後退しており、今後は本務先での業務の合間を縫って、積極的に海外資料調査を実施していく。 また、いくつかの具体的成果が公刊されたことで、関連分野の研究者との交流もより容易になっており、そうした研究交流も加速していく。特に、学会報告の機会が増える見込みであり、交流の進展は大いに期待できる。
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Report
(4 results)
Research Products
(11 results)