Project/Area Number |
20K01647
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 07040:Economic policy-related
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
國枝 卓真 関西学院大学, 経済学部, 教授 (60511516)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2024: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2023: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2022: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2020: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
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Keywords | 金融市場の発達 / 知識資本 / 経済成長 / 直接投資 / 集計ショック / 保険市場 / 内生的景気循環 / 中位所得の罠 / 景気循環 / 不平等 / 制度の質 / 所有権の保護 / 金融市場の発展 / 動学的一般均衡モデル |
Outline of Research at the Start |
本研究プロジェクトでは、金融市場の発展が場合によっては経済成長を阻害するという、従来の理論モデルでは説明のつかない実証結果を説明するために、新しいメカニズムを導入した動学的一般均衡モデルを構築する。また、本研究プロジェクトでは、実証研究も行うが、既存の実証研究とは違い、ただ単に金融市場の発展が経済成長を促進させるかどうかという分析にとどまらず、構築した理論モデルのメカニズムに焦点を当てて、そのメカニズムが現実の経済と整合的かどうかを分析する。
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Outline of Annual Research Achievements |
金融市場の発展は経済成長を促進させるのか、それとも阻害するのかを、理論的・実証的に分析することが本研究プロジェクトの主な目的である。金融市場の発展の度合いは、知識資本の蓄積を促進、或いは、阻害する要因にもなり、これらを通じて経済成長に影響を及ぼす可能性がある。その知識資本蓄積の促進や障壁の制度的な要因は、外国からの直接投資と国内の経済成長の関係にも影響を及ぼすはずであるという仮説を立てて分析を行った結果は、すでにNBERのワーキングペーパーとしてまとめたが、2023年度はこのワーキングペーパーの改定に多くの時間を費やした。この研究では、反実仮想分析の数値計算をいかに実行するかが重要なポイントであり、これに多大な時間を要した。いろいろなアイデアを試したが、直接投資の要因を分解して、各要因の経済成長に対する貢献のシャープレイ値を計算することが出来ると分かり、その分析を実行し良好な結果を得た。現在この論文は投稿に向けて準備中である。 更に、2023年度後半からは、金融市場の不完備性にも着目して、経済主体の生産性や保有する資産にばらつきがあるとき、集計ショックに保険をかけることが出来るかどうか分析を行った。通常、固有ショックには保険を掛けることは可能であるが、集計ショックはすべての経済主体が同じショックを被るので保険がかけられないように思える。しかし、経済主体が異質であると、起こるショックが集計ショックであったとしても、各状態間の限界代替率が異なり、保険をかけることが可能になるということを発見した。現在この論文は国際ジャーナルに投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度は、NBERのワーキングペーパーを国際学会で報告し、そこでもらったコメントを基に論文の改定作業を行った。この改定作業には多大な時間を費やしたが、直接投資の要因を分解し各要因の経済成長に対する貢献分をシャープレイ値で計測するというアイデアを実行し良好な結果を得ることが出来た。また、集計ショックに保険を掛けることが出来るということを示したが、これは新しい発見である。2023年度は国際ジャーナルに新しい論文を出版することはできなかったが、以上の二つの大きな分析を実現できたことが、このプロジェクトが順調に進んでいる理由である。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は、直接投資と知識資本の蓄積を明示的に導入した理論モデルと、これまで構築してきた金融市場の発展と経済成長の関係を分析した理論モデルを組み合わせて、先端技術が国間で伝播し内生的に採択される過程で、金融市場の発展がどのように影響するかを分析する。そこでは、GDP、物的資本・知識資本の蓄積、直接投資を含めたマクロデータを用いて、構築した理論モデルのパラメーターを推計、または、カリブレートし、反事仮想分析を行う。反実仮想分析の主な分析対象は発展途上国を中心に、新興国や日本のように先進国の中でも中位所得の罠に陥ってしまったように思える国も分析対象とする。この分析によって、ある国で経済成長が停滞している要因が、先端技術を採択するための障壁にあるのか、知識資本の蓄積が不充分なのか、或いは金融市場の発展が未熟なのかを数量的に明らかにし、その結果を踏まえて具体的な政策を提言することを目的とする。
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