従業員の年齢構成、特に高齢化が企業金融に与える影響
Project/Area Number |
20K01772
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 07060:Money and finance-related
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Research Institution | Rikkyo University (2022) Nagasaki University (2020-2021) |
Principal Investigator |
千野 厚 立教大学, 経営学部, 准教授 (30647988)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,420,000 (Direct Cost: ¥3,400,000、Indirect Cost: ¥1,020,000)
Fiscal Year 2022: ¥260,000 (Direct Cost: ¥200,000、Indirect Cost: ¥60,000)
Fiscal Year 2021: ¥2,210,000 (Direct Cost: ¥1,700,000、Indirect Cost: ¥510,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
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Keywords | 企業金融 / 高齢者 / 雇用保護 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、企業の従業員の年齢構成、特に従業員の高齢化が企業金融に与える影響を実証的に解明する。勤労世代の高齢化は先進国共通の現象ではあるが、従業員の高齢化が企業金融、より具体的には企業価値や企業投資に与える影響に関しては、先行研究の蓄積は十分とは言えない。本研究は、政府統計及び企業財務データを用いて従業員の年齢構成が企業金融に与える影響を分析する。推定結果から望ましい高齢者雇用に対する政策的含意を導く。
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Outline of Annual Research Achievements |
高齢者の雇用を守ることは、企業の価値にどのような影響を与えるであろうか?本研究は特に人口の高齢化が顕著な日本において、高齢者の雇用を保護することが企業価値にいかなる影響を与えるかを実証的に解明する。前年度は、2012年8月に衆議院で可決された、60歳以上の従業員の雇用継続を実質的に義務化した高齢者雇用安定法の改正が、企業価値や企業業績、労働生産性、平均賃金、等に与えた影響の推定を、差分の差分(DiD)分析の枠組みで行った。主要な分析結果として、高齢者に対する雇用保護を強めた法改正が企業価値を低下させた事実が明らかになっていた。しかし、DiD分析は法改正が行われた前後の期間を含む2008年から2017年までの年次データを用いて比較的長期の分析を行っているため、2012年法改正以外の影響が分析結果に影響を与えている可能性もある。そこで今年度は論文の構成を再考し、法改正前後の短期間の株価収益率を用いたイベント分析を本研究の主要分析として位置づけ、前年度までに中心的に行ってきた長期的なDiD分析を補完的分析として論文をまとめることにした。より具体的には、今年度は衆議院における法改正可決日前後の短い期間における各企業の株価の超過収益率を用いたイベント分析を集中的に行った。分析の結果、法改正時点において55-59歳代の従業者が多い産業に属する企業の株価の超過収益率は、他の企業のそれと比較して、法改正可決日前後に有意に低下したことが明らかになった。更に追加的な分析によりこの結果の頑健性も確認した。そして、これらの短期イベント分析および長期DiD分析の結果をまとめた英文の初稿を完成させ、SSRN上に公開した。また、本研究課題と分析手法が関連している他の研究プロジェクトの論文が、2022年6月にFinancial Management誌に掲載された。以上が、今年度に行った主な研究実績である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の予定では、前年度までに主要な分析結果をまとめた英文の初稿を完成させ、今年度に学会発表および論文投稿を始める予定であった。しかしながら、他の研究プロジェクトに時間を要したことなどにより初稿の完成が当初計画よりも1年程度遅れてしまった。今年度は英文の初稿を完成およびSSRN上に初稿を公開することはできたが、学会発表や国際学術誌への投稿を始めるには至らなかった。本研究課題は令和6年3月までの1年間の補助期間延長が認められたため、研究最終年度となる次年度に学会発表および国際学術誌への論文投稿を行っていく。現在までの進捗状況は、研究全体の約80%程度を達成した段階と考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までの進捗状況でも述べたが、次年度においては速やかに国内外の学会発表および国際学術誌への投稿を行っていく予定である。また、次年度においては学会発表での討論者等のコメントを参考にしながら可能な限り追加的な分析も行っていきたい。現段階では、2012年の高齢者雇用安定法の改正後に55-59歳代の従業者が多い産業に属する企業の企業価値が低下したことは明らかになったが、この結果が法改正の影響を反映したものか否かに関する頑健性確認分析は未だ十分とは言えない。そこで、厚生労働省に利用申請を現在行っている就労条件総合調査の個票データを用いて、主要結果の頑健性を確認するために追加的な分析を行う予定である。同調査から、法改正以前の企業レベルでの定年制度、継続雇用制度に関する情報を入手し、法改正の影響をより強く受けたと考えられる企業をより正確に抽出し、それらの企業における法改正前後の企業価値の変化も推定する。
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Report
(3 results)
Research Products
(3 results)