• Search Research Projects
  • Search Researchers
  • How to Use
  1. Back to previous page

「後発高等教育機関」の教育史的研究ー既存の法学・経済学教育に対する独自性の追求ー

Research Project

Project/Area Number 20K02957
Research Category

Grant-in-Aid for Scientific Research (C)

Allocation TypeMulti-year Fund
Section一般
Review Section Basic Section 09050:Tertiary education-related
Research InstitutionNara Prefectual University (2023)
Okinawa University (2020-2022)

Principal Investigator

岩垣 真人  奈良県立大学, 地域創造学部, 准教授 (90802851)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 楠山 研  武庫川女子大学, 教育学部, 准教授 (20452328)
牧野 邦昭  慶應義塾大学, 経済学部(三田), 教授 (20582472)
松山 直樹  兵庫県立大学, 国際商経学部, 准教授 (80583161)
Project Period (FY) 2020-04-01 – 2025-03-31
Project Status Granted (Fiscal Year 2023)
Budget Amount *help
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2024: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2023: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2022: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Keywords高等教育 / 大学史 / 経済学史 / 法学史 / 新制大学 / 商学史 / 沖縄 / 教育学 / 女子教育 / 高等商業学校
Outline of Research at the Start

本研究では,京都帝国大学や,県立兵庫高等商業学校,琉球大学などに着目し,まず,そのような高等教育機関が,どういった経緯で,既存の高等教育機関に対抗して設立されたのか,検討を行う。さらにそれらの高等教育機関において,対抗関係と特殊な事情の下で掲げられた,教育・研究に関する理念が,現実との関係のなかでどのように変容していったのか,分析を行う。
この研究では,帝国大学などを軸とした「国策」に基づく高等教育機関の設置やその発展とは異なる,全国各地で地域のニーズに応じて設置・運営された後発の高等教育機関像を並列することで,日本における高等教育機関の複線的記述を一層拡張することを試みていく。

Outline of Annual Research Achievements

当該年度の研究においては,特に個々の領域における研究を進化させることができた.
慶應義塾に着目した研究では,実学の学校とされた慶應義塾において,高等商業教育に着目することで,そこに掲げる「実学」概念が錯綜していることにたどり着いた.慶應義塾においては,一方で中等教育機関として,慶應義塾商業学校や慶應義塾商工学校が存在し,実学としての商業教育をリードしていたものの,他方で,高等教育の次元においては,経済学部内で,商学部設置を巡って深刻な対立が存在し,そこで問われる「実学」とはいかなるものなのか,議論が複雑な状況を示していたことを明らかにした.
県立神戸高商に着目した研究では,初代校長である伊藤眞雄自身の研究を追うことにより,その彼が掲げた教育方針の内実がいかなるものであったか,分析を深めた.特に,伊藤眞雄がLSEで学び,生涯にわたって強い影響を受けた,エドウィン・キャナンについて,彼の人口論を中心とした紹介を行ったことに着目し,それには単にイングランドの最先端の研究を紹介することにとどまらず,教育の素材として,学のあり方を示すという意図があった可能性を明らかにした.
琉球大学に着目した研究では,沖縄が米国施政権下に置かれたいた期間,琉球大学法文学部で遂行された研究が,他県での学術研究と比して,いかなる特異性を有していたか,検討をおこなった.特に,幸地による労働法研究は,日本の他県での研究を経由せずに,アメリカにおける議論を直接接種するものであり,東京や京都の旧帝国大学で展開される議論を「中央」として仰ぐのではなく,むしろそれらとパラレルに国際的な志向性を持っていたものであったことを示した.
以上のような形で,当該年度の研究は,個々の論点を一層深化させて分析することによって,成果を示すことが出来たと考えている.

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本研究課題の進捗状況について,個々の研究分担者が担当する領域に関して,それぞれ適切な研究の遂行を図ることが出来ているため,全般的に「おおむね順調に推移している」と評価することができる.
慶應義塾に着目した研究においては,「実学」概念に,必ずしも一致が見られず,したがって「商学部設置問題」といわれる経済学部内での争いにまで行ったたことを示した.このことにより,単に先行する官立大学に対して,「後発的」な慶應義塾が,実学という概念を旗印として迫ろうとしたという単純な図式を越え,その議論の複雑性にまでいたることができており,それは研究として統合するための十分な素地が整いつつあると評価できる.
県立神戸高商に関する研究や,琉球大学に着目した研究においても,道標に評価することが出来よう.前者は,一方で初代学長の伊藤眞雄の研究に着目しつつ,同時に,図書館の蔵書について検討を行うことによって,伊藤の学知やそれに基づく教育方針が確固たるものであることを示しつつも,それに留まらない,広範な知のあり方が,当時の県立神戸高商に存在していたことを確認した.また,後者についても,一方でアメリカの国有地交付大学をモデルとして形成された琉球大学において,実学を志向する研究・教育が積み重ねられてきていたことを示しつつも,同時に,旧帝国大学で展開される理論分析と十分に互しうるような研究が,しかもアメリカなどをその論を展開する先として志向しつつ遂行されており,やはり多面的なものであったことが確認できた.このような,個々の領域に関して深化させた研究をベースとして,今後,予定と大きな違いを生じることなく,全体的にその議論を統合していくことが見込まれる.
以上の点から,本研究課題の進捗状況について,上記の通りであると判断した.

Strategy for Future Research Activity

本研究の今後の推進方策として,最終年度たる次年度においては,研究の発信と,そして研究の統合に努めていくことを予定している.
既に記載したとおり,本研究は,これまでの期間での研究によって,個々の領域における検討を深化させることが出来た.このような知見をもとに,まず対外的な発信を行い,それに対するレスポンスを獲得し,そのような外部からの反応をもとに一層のブラッシュアップを図ることを予定している.具体的には,2024年5月に開催される,経済学史学会において,本研究の報告を行うことが予定されている.当該学会においては,主として経済学の観点から,本研究に対するレスポンスを獲得することが予期されるが,それ以外の学会等へも積極的に参加を行い,経済学以外の領域からのレスポンスも,獲得することを視野に入れていきたいと考えている.
また,最終年度の研究としては,個々の研究に対して,それを全体としてどのように評価することが出来るか,統合して評価していくことが欠かせない.慶應義塾に着目するものについても,県立神戸高商に関しても,琉球大学に関しても,個別のフィールドの研究を深化されていく中において,その中で多面的な対立構造が展開されていることが確認された.その多面的な対立構造を,「先発」高等教育機関対「後発」高等教育機関という当初より有している見取り図の中で,それぞれどのように配していくことが可能なのか,統合に向けた検討を進めていく.また,その延長線上に,「先発」高等教育機関を有する国家=欧米対「後発」高等教育機関を有する国家=日本という枠組が存在するため,それとの関係についても検討を行っていく.
以上のような点から,本研究は,最終年度の推進方策として,従来蓄積を行ってきた個々の知見について,対外的発信を行い,そのフィードバックを受けつつ,全体としての統合を図っていくことを予定している.

Report

(4 results)
  • 2023 Research-status Report
  • 2022 Research-status Report
  • 2021 Research-status Report
  • 2020 Research-status Report
  • Research Products

    (5 results)

All 2023 2021

All Journal Article (4 results) (of which Open Access: 3 results) Presentation (1 results) (of which Invited: 1 results)

  • [Journal Article] 『「戦後憲法学」の群像』と現代憲法学の課題 マルクス主義法学の再考/再興に向けて2023

    • Author(s)
      岩垣真人
    • Journal Title

      地域創造学研究

      Volume: 58 Pages: 27-54

    • Related Report
      2023 Research-status Report
    • Open Access
  • [Journal Article] 沖縄における高等教育機関の展開と課題2023

    • Author(s)
      岩垣真人
    • Journal Title

      賃金と社会保障

      Volume: 1809 Pages: 53-66

    • Related Report
      2022 Research-status Report
  • [Journal Article] 県立神戸高等商業学校と伊藤眞雄-兵庫県立大学国際商経学部の起源を辿る2021

    • Author(s)
      松山直樹
    • Journal Title

      商大論集

      Volume: 73巻1号 Pages: 1-67

    • Related Report
      2021 Research-status Report
    • Open Access
  • [Journal Article] 県立神戸高等商業学校と一谷藤一郎-随筆「ハイエク教授の素描」「ゴットフリード・ハーバラー」の復刻2021

    • Author(s)
      松山直樹
    • Journal Title

      商大論集

      Volume: 73巻1号 Pages: 69-91

    • Related Report
      2021 Research-status Report
    • Open Access
  • [Presentation] 米国施政権下沖縄での法曹養成及び草創期琉球大学における法学教育の特異性2021

    • Author(s)
      岩垣真人
    • Organizer
      「国家と法」研究会
    • Related Report
      2020 Research-status Report
    • Invited

URL: 

Published: 2020-04-28   Modified: 2024-12-25  

Information User Guide FAQ News Terms of Use Attribution of KAKENHI

Powered by NII kakenhi