Project/Area Number |
20K09878
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 57010:Oral biological science-related
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
脇坂 聡 大阪大学, 大学院歯学研究科, 名誉教授 (40158598)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
乾 千珠子 (山本千珠子) 大阪大学, 大学院歯学研究科, 助教 (00419459)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,420,000 (Direct Cost: ¥3,400,000、Indirect Cost: ¥1,020,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | 味覚異常 / 亜鉛欠乏 / 加齢 / 塩化ナトリウム / 脳神経活動 / 体液調整 / 女性ホルモン / エストラジオール / 性差 / ライフステージ / 味覚障害 |
Outline of Research at the Start |
一般的な「味覚」は味刺激の伝導のみならず、「歯ごたえ」「舌ざわり」などの一般体性感覚などを統合した感覚である。近年味覚障害が増加傾向にあるが、その場合は味覚と一般体性感覚が統合した感覚障害である。味覚障害は女性に多い疾患だが、性差の原因は未だ不明である。本研究では、女性ホルモンが味覚障害に及ぼす影響について女性ホルモンの分泌量の異なる幼若期、思春期、成熟期、更年期の4ステージにおける亜鉛欠乏性味覚障害モデル動物を作製し、基本味に対する嗜好性の変化を行動学的に調べ、味刺激に対する神経活動の変化を免疫組織学的手法を用いて調べる。さらに一般体性感覚の変化も検討する。
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Outline of Annual Research Achievements |
味覚異常の罹患者は年々増加傾向にあり、その比率は男性より女性が高く、特に高齢期に多く認められる。性別や年代によって味覚異常の発症率に違いが生じる原因は明らかではない。味覚異常の罹患者の多くは血中亜鉛量が正常値より低下しているが因果関係は十分に明らかにされていない。本研究では、性別・加齢と低亜鉛による味覚異常の関連性を明らかにすることを目的とした。女性ホルモンの分泌量が異なることが想定される、幼若期(3週齢)、思春期(7週齢)、更年期(35週齢)の雌性ラットと雄性ラットを用い、4基本味に対する味覚閾値および嗜好性を週齢間で比較した。また、低亜鉛飼料で4週間飼養することで低亜鉛状態下にした場合の味覚への影響についても調べた。前年度に、低亜鉛によって幼若期、思春期の雌雄ラットでは高濃度塩化ナトリウム溶液に対する閾値や嗜好性が上昇するという結果を得たことから、味覚中継核である結合腕傍核、体液調整に関わる視索上核および視床下部室傍核における神経活動について免疫組織化学的に調べた。低亜鉛状態ではこれらの脳部位の活動が低下していることが分かった。本年度はさらに高齢期(80週齢)を被検体に追加し、通常食条件の高齢期雌性ラットは塩化ナトリウムと塩酸キニーネに、雄性ラットでは塩酸キニーネに対する閾値の上昇がみられることを明らかにした。また、低亜鉛条件の更年期・高齢期雌性ラットで、塩化ナトリウムに対する閾値と嗜好性が通常食条件の雌性ラットより上昇した。一方、雄性ラットでは低亜鉛による味覚への影響はみられなかった。高齢期では雌雄共に味覚に変化がみられるが、雌性ラットでは特に低亜鉛状態下でより味覚異常を引き起こす可能性が高まることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
幼若期(3週齢)、思春期(7週齢)、成熟期(22週齢)、更年期(35週齢:繁殖期後)の4ライフステージに加え、さらに高齢期(80週齢)の味覚機能について調べる必要があったことから、高齢期の動物作製に多くの時間を要した。しかし、研究の背景となった味覚異常が高齢期の女性に多くみられるという社会的問題が、高齢期動物を用いることで再現され、モデル動物として成立したことで、研究をさらに進める基盤的結果を得ることとなった。また、低亜鉛状態の幼若期と思春期の雌雄に共通して、塩化ナトリウムに対する味覚閾値の上昇の原因が、味覚中継核である結合腕傍核、体液調整に関わる視索上核および視床下部室傍核の神経活動の減弱によるものであることが明らかとなるなど、大きく発展した研究もある。高齢期の動物の作製のために飼育スペースに限界が生じ、昨年度予定していた成熟期(22週齢)の雌性ラットの追加実験を実施できなかったが、現在は新たな飼育スペースを確保することができ、追加実験が可能となった。次年度にこの実験を実施し、研究の遅れを取り戻す。
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Strategy for Future Research Activity |
高齢期雌性ラットを低亜鉛飼料で4週間飼養すると、高濃度の塩味に対する味覚閾値の上昇がみられた。一方、高齢期雄性ラットでは亜鉛欠乏による味覚機能への影響はみられなかった。また、亜鉛欠乏食の飼養により雌ラットでは、性周期の乱れや血中エストラジオール量やプロゲステロン量が減少する傾向がみられた。これらのことから、亜鉛不足が女性ホルモン分泌を低下させることによって味覚機能が低下する可能性が示唆された。今年度は、女性ホルモンの有無による味覚機能への影響を確認するため、卵巣摘出処置を施したラットに対する女性ホルモンの補充の有無によって味覚機能にどのような変化が生じるかを末梢から中枢まで網羅的に解析する。また、雄性ラットの精巣摘出処置による味覚機能への影響を調べ、性別によって亜鉛欠乏の影響が異なる原因について明らかにする。
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Report
(3 results)
Research Products
(7 results)