Project/Area Number |
20K12940
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 02010:Japanese literature-related
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Research Institution | Shokei University |
Principal Investigator |
山本 歩 尚絅大学, 現代文化学部, 講師 (90755092)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥2,470,000 (Direct Cost: ¥1,900,000、Indirect Cost: ¥570,000)
Fiscal Year 2022: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2021: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2020: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
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Keywords | 小説作法 / 文章世界 / 日本文章学院 / 日本近代文学 / 投書雑誌 / 投書文化 / 文芸雑誌 |
Outline of Research at the Start |
雑誌・新聞等への散文・小説の投書は、主に若年層の修養・娯楽として機能していた。本研究は投書小説と共に、それらに近接する小説指導・創作奨励(小説作法言説)の収集・分析を行うものである。両者の影響関係を考察しながら、小説指導を取り巻く論者や、小説に関するコンセンサス形成に注目していく。とりわけ、今回の計画では、明治・大正期において初学者を対象とした〈小説作法言説〉が如何なる内容と戦略を有したのかを明らかにしたい。
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Outline of Annual Research Achievements |
田山花袋、及び『文章世界』の小説指導は、その内容が些か観念的・主観的であり、直接性・即効性に欠ける部分があり、〈小説作法〉として評価することが困難であった。しかし前年度の成果から、投書文化における指導や実作を創造性(creativity)としての〈mini-c creativity〉に関わるものと理解することで、〈小説作法〉書における再現困難=実用的でないと思われる言説も、「状態」の共有を目指すものとして積極的に評価可能となった。観念的・間接的な小説指導が多いかに思われる投書雑誌『文章世界』の記事等にも一定の意義が見いだせよう。同誌のグランドデザインを改めて確立した「文話詩話」号の特集「新式作文法」の各言説は、自己の認知の状態や記憶のあり方について点検することを促している。以後の同誌の〈小説作法〉記事でもしばしば、観察と表象をめぐる議論の中で記憶のモニタリングや、記憶の出力についてのメタ記憶的な記述が登場する。遡れば『文章世界』周辺には既に記憶力の活用を促す創作論が存在していた。それは「写生」による即興での描写ではなく、記憶力≒想像力という心的能力を創作の資源とする小説指導とも言えるだろう。メタ認知を促す啓蒙、心的能力に注意を向けさせる指導、記憶の活用を示唆する言説など、小説を書く際に「頭」や「心」が働く感覚を伝えようとする記述もまた〈小説作法〉の要素と言える。 日本文章学院ならびに新潮社系の〈小説作法〉言説についても調査に進展が見られた。日本文章学院の機関誌である『新文壇』の全容が把握できたことで、同学院の指導傾向やメディア戦略、及び大正期への連続性が明らかにできるだろう。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当該年度においては、新型コロナウイルス感染対策が段階的に解除されたことで、延期していた調査が実施できた。ただし、コロナ禍において調査に遅れが生じ、研究期間を延長したため、「やや遅れている」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度行った日本文章学院についての研究成果は、口頭発表を経た上で論文化する予定である。また次年度は、引き続き大正期の〈小説作法〉言説の研究を行う。
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Report
(3 results)
Research Products
(3 results)