Project/Area Number |
20K12941
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 02010:Japanese literature-related
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Research Institution | Yonezawa women's junior college |
Principal Investigator |
岡 英里奈 山形県立米沢女子短期大学, その他部局等, 准教授 (80784181)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2023: ¥130,000 (Direct Cost: ¥100,000、Indirect Cost: ¥30,000)
Fiscal Year 2022: ¥260,000 (Direct Cost: ¥200,000、Indirect Cost: ¥60,000)
Fiscal Year 2021: ¥260,000 (Direct Cost: ¥200,000、Indirect Cost: ¥60,000)
Fiscal Year 2020: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
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Keywords | 悲惨小説 / 深刻小説 / 川上眉山 / 泉鏡花 / 田岡嶺雲 / 『青年文』 / 日清戦争後の文学 / 文芸批評 / 文芸時評 / 深刻・悲惨小説 / 観念小説 / 1890年代 / 創作と批評 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、1890年代後半における「悲惨・深刻小説」についての総合的研究である。「悲惨・深刻小説」と呼ばれた作品群は、誰や何を対象に、どのような表現のもとで〈悲惨〉性や〈深刻〉性を描いたのか。そしてそれらは同時期における「新しい文学」を求める出版・批評界の動きとどのような関係にあったのか。「悲惨・深刻小説」流行現象の全体像を明らかにすることを目的とする。この目的のもと、本研究では「文芸倶楽部」や「新小説」、「太陽」「青年文」といった雑誌を調査し、「悲惨・深刻小説」とそれに関連する批評の収集を行う。それによってこのジャンルの内容と表現の有り様を可視化するとともに、批評言説との関係性を分析する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、8/31~9/3と10/7~9の2回に渡って出張を行うことができ、実施計画1「深刻・悲惨小説の収集」および関連資料の調査を進めることができた。「深刻・悲惨小説」は、本年は『文藝倶楽部』を中心に調査を行った。関連資料については、川上眉山「大さかづき」に登場する「猟虎船」や、出稼ぎ移民の問題に注目し、当時の下層の人々における移動の様相、同時代言説の収集に努めた。また、その移動の問題と関連して、徳田秋聲や小栗風葉の小説に顕著な被差別部落問題に関する同時代言説についても、清水紫琴「移民学園」(1899)や島崎藤村「破戒」(1906)の時代まで範囲を拡げて調査を行った。 論文としてまとめられる段階には至らなかったが、現段階で収集した資料と小説の読解を踏まえると、「都市空間」および「移動」の問題が、今後テクスト分析を進めていく際の重要な論点になると考えられる。とりわけ、川上眉山や泉鏡花が描いた「移動者」には、「大さかづき」における密漁船乗組員や「貧民倶楽部」におけるお丹一行に顕著なように、近代的な法の理念から逸れたアウトローな存在が描かれている。このようなテクストが何をもとにして書かれているのかについて、現段階では新聞雑報記事からの影響があると考えているが、今のところ十分に調査できていない。さらなる調査を続け、次年度にはいくつかの個別テクストについて論文化できるよう努めたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
昨年度に進めていた「深刻・悲惨小説」の批評側の言説、特に田岡嶺雲と雑誌『青年文』の言説について、本年度中の論文の発表を目指していたが、調査が不十分なところがあり実現できていない。また、小説については昨年までのコロナウイルス感染症の流行により、本年度から出張による資料調査を始めたため、全体的に遅れが出ている。
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Strategy for Future Research Activity |
出張による小説と関連資料の収集を引き続き行う。また現段階で達成できた成果を発表できるよう、テクスト分析と論文執筆に重きを置いて取り組む。
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