近代朝鮮における「婦人」の形成プロセスと女子中等教育
Project/Area Number |
20K13162
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 03010:Historical studies in general-related
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Research Institution | Osaka Sangyo University (2022) Chuo University (2020-2021) |
Principal Investigator |
崔 誠姫 大阪産業大学, 国際学部, 准教授 (10867592)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥2,470,000 (Direct Cost: ¥1,900,000、Indirect Cost: ¥570,000)
Fiscal Year 2023: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2022: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2021: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2020: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
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Keywords | 朝鮮史 / 植民地教育 / 中等教育 / 近代女子教育 / 近代教育 / 女子教育 / ジェンダー史 |
Outline of Research at the Start |
朝鮮の女子教育は19世紀末にはじまり、1910年韓国併合以降は朝鮮総督府主導による教育政策のもと、伝統―近代―帝国の三者が折り重なる形で、近代朝鮮における「婦人」が形成されていく。 近代朝鮮における「婦人」については、これまで多数の研究成果がある。しかしこれらは「婦人」となった後のことがほとんどで、朝鮮において「婦人」がどのように形成されていったのかそのプロセスがプロセスが明確にされないまま、朝鮮近代における「婦人」が論じられているという問題点がある。 本研究はそのプロセス、つまり家庭と教育機関が求めた「婦人」、そして当事者である女性たちが描いた「婦人」について、明らかにしようとするものである。
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Outline of Annual Research Achievements |
1.2022年8月下旬に韓国大邱及びソウルにて資料調査を実施した。具体的には研究対象の学校となる大邱女子高等普通学校の後継校である慶北女子高等学校歴史館(韓国・大邱市)にて資料調査を実施し、同窓会誌や写真集のデータを収集した。さらに歴史館の展示を観覧し、大邱女子高等普通学校時代の教育をどのように展示し、伝えているのかという点について調査を行った。同じく大邱市内にある慶北大学校にて、アーカイブズ専門の金慶南教授に面会し、教育関連の資料状況についてのヒアリングを行った。また、ソウル市の韓国国立中央図書館にて平壌女子高等普通学校の同窓会誌を収集した。 10月にも追加調査を実施し、平壌高等普通学校の同窓会誌を収集し、韓国内の近代教育関連研究者との研究交流を行った。
2.本研究課題に関連し、4月に韓国慶北大学校のコロキウムにて、「1930年代女子教育の特徴」について発表を行った。本報告は朝鮮の女子教育の状況と柳原吉兵衛資料から得られる朝鮮人女子留学生の状況について発表した。7月に東アジア近代史学会年次大会にて「1920年代朝鮮における女子中等教育の「拡充」と女子生徒の「活動」」というテーマで研究発表を行った。本報告は論文化を終え、令和5年度中に東アジア近代史学会の学会誌に掲載予定である。また、これまで収集した柳原吉兵衛をもとに、奈良女子高等師範学校の朝鮮人女子留学生に関する論文を韓国語で執筆し、令和5年5月中に韓国歴史問題研究所の会誌に投稿予定である。
3.柳原吉兵衛資料を追加で収集し引き続き翻刻作業を進めている。また、本研究との対比という点から旧制釜山中学校の学友会誌の資料を卒業生の遺族の方から提供いただき、デジタル化作業を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.研究成果の公開に向けた準備を進めている。年度内に慶應義塾出版会より『女性たちの韓国近現代史』(仮)というタイトルで、一般向けの書籍を刊行する予定であり、現在5章中4章までの執筆を進めている。女性に目を向けた歴史書籍ということで、本研究で得られた成果を十分含めることが可能である。
2.東アジア近代史学会会誌への論文掲載が決定している。こちらは昨年7月に発表した内容に加筆修正を加え、1920年代の女子中等教育について第一次世界大戦後の新秩序という視点から論じている。特にこれまで「中」に閉じこもっていた女子学生が様々な面で「可視化」されたことを明らかにしている。
3.韓国の学会誌に本科研と関連するテーマで、論文を投稿する。多くの会員おり、植民地教育史班という研究チームを設けている歴史問題研究所の会誌に韓国語で論文を投稿するため、韓国語の最終校正を終えたところである。主題は主に柳原吉兵衛資料から朝鮮人女子留学を論じるもので、韓国語による論文成果の発表は研究の国際化にも貢献する。
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Strategy for Future Research Activity |
1.現在までの進捗状況3で記入した韓国の学会誌への論文投稿が、仮に返却であっても加筆修正し韓国での成果公開に尽力する。
2.研究成果公開に向けた資料調査を行う。特に今韓国では植民地期の学籍簿資料などの公開が進んでおり、研究対象となる女子高等普通学校の学籍簿資料の収集を精力的に行う。また、2020年代は韓国内の公立女子高が100周年を迎えるため、資料館の開設や100年史の執筆を進めている。韓国での現地調査を通じて、これらの状況を把握し、女子高等普通学校時代の展示内容などを精査する。
3.引き続き奈良女子高等師範学校の朝鮮人留学生の動向を追う。これらは柳原吉兵衛宛の書簡資料のさらなる分析と、4月に新たな柳原資料が追加になったという情報を得ているので、所蔵先の桃山学院史料室とも連絡を取り合いながら、資料状況の把握に務める。
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Report
(3 results)
Research Products
(5 results)