文書の作成・活用・保存に着目した前近代朝廷儀礼の復原的研究
Project/Area Number |
20K13176
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 03020:Japanese history-related
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
黒羽 亮太 山口大学, 人文学部, 講師 (90867392)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥3,120,000 (Direct Cost: ¥2,400,000、Indirect Cost: ¥720,000)
Fiscal Year 2023: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2022: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2021: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2020: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
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Keywords | 朝廷文書 / 儀礼 / 政務 / 古代 / 中世 / 前近代 / 書誌学 / 公事 |
Outline of Research at the Start |
日本には「朝廷文書」と呼ぶことのできる一連の文書群が伝わっている。これは前近代の朝廷、貴族・公家社会において、政務や儀礼を行うにあたって必要となり作成・活用され、先例として長らく保存・参照されてきた文書群である。本研究では、史料の少ない古代史研究における新たな史料として、多数現存する中近世の「朝廷文書」に注目し、調査・分析を行う。その上で、慎重な操作を加えながら、古代朝廷儀礼について復原的な研究を進める。本研究は、これまでとは異なる新たな視角から儀礼研究を展開させ、そうした文書や儀礼の背景にある日本国家・社会の特質、ないしはその変容についても見通しを持ちたいと考えている。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、主に中近世の「朝廷文書」の調査によって得られた知見を、現存史料の少ない古代史(とりわけ平安時代の朝廷における儀礼(政務や祭祀なども含む)の復原)研究に活用することを目指してきた。 本研究を開始するに当たり、世界的な新型コロナウイルス感染症の拡大という局面に際会し、当初は研究の推進に大きな支障を来したが、次第に所期の計画を遂行できるようになった。本年度は、朝廷文書の中でも官方のそれに注目して調査・研究を進めた。 周知のように、平安時代中期以降の朝廷の儀礼・政務の運営は外記や史によって実務が担われたが、このうち弁官局(史)を中心として運営された官方行事に関しては、当然ながら弁官局に多くの文書が残された。中世以降、この官務を担うことになった小槻氏の後裔である壬生家には、中世の官方行事に関する文書が数多く残されている(壬生家文書)。 壬生家文書は現在、いくつかの所蔵機関に分かれて所蔵されているが、本研究では宮内庁書陵部に所蔵される壬生家文書について、現物を熟覧し、史料の記載内容のみならず、折り目や法量などの物質的側面も注意深く観察した。また、これと京都大学が所蔵する同文書の写真帳とを付き合わせることによって、文書の本来の形状を復原することに成功した。 当該史料は一紙ものの文書ではなく、実は冊子体(粘葉装)の文書だったのであり、これまで知られることのなかった、平安貴族社会における粘葉装朝廷文書の活用の一面を、本研究は初めて明らかにしたことになる。この研究成果については、すでに口頭で学会報告を行ったが、現在文書化に向けて、研究の精緻化に努めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、朝廷文書の観察に基づき、これまで知られることのなかった儀礼・政務の側面を復原するという研究の進展が見られた。これは研究課題に適う成果と言え、上のように判断した。最終年度はその文書化が目標となろう。
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Strategy for Future Research Activity |
研究課題に相応しい成果が得られつつある。最終年度は、この研究をさらに精緻なものにするとともに、その意義づけを深め、文書化により、広く成果を公表することを目標とする。
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Report
(3 results)
Research Products
(7 results)