Project/Area Number |
20K13344
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 05050:Criminal law-related
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
八百 章嘉 富山大学, 学術研究部社会科学系, 准教授 (80725474)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2022: ¥130,000 (Direct Cost: ¥100,000、Indirect Cost: ¥30,000)
Fiscal Year 2021: ¥260,000 (Direct Cost: ¥200,000、Indirect Cost: ¥60,000)
Fiscal Year 2020: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
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Keywords | 条件付起訴猶予制度 / 無罪推定法理 / 訴追裁量権 / 検察官 / 再犯防止 / 条件付起訴猶予 |
Outline of Research at the Start |
検察実務ですでに実践されている再犯防止措置と結びつけた起訴猶予制度(条件付起訴猶予制度)は一定の効果が認められている一方で、検察官の訴追裁量権を逸脱し、無罪推定法理という刑事手続の基本原則に抵触しうるものであるという批判が向けられている。 本研究では、なおもその実体が不明瞭である訴追裁量権および無罪推定法理を解明した上で、理論的にも承認されうる条件付起訴猶予制度の具体的な制度設計を提示する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、無罪推定法理および訴追裁量権の意義・射程範囲を解明した上で、無罪推定法理に違反しない条件付起訴猶予制度の具体的な制度設計を提示することを目的にしたものである。令和3年度までに、条件付起訴猶予制度に対して批判的見解を示す先行研究を中心に分析を進め同制度が抱える理論的問題点を明確化し、また英米法域における無罪推定法理の歴史的展開とその現代的意義について検討を加え、無罪推定法理と条件付起訴猶予制度の理論的調和の可能性が認められることを明らかにした。そして令和4年度には、EU法域における無罪推定法理について研究を進め、ヨーロッパ人権裁判所の関連判例やEU指令を整理することで、本研究にとっての重要な示唆を得ることができた。 令和5年度の研究計画は、昨年度までの遅れを踏まえつつ、アメリカと日本の検察実務の実態調査を実施した上で、無罪推定法理に関するこれまでの研究成果として研究論文を公表し、同法理に抵触しない条件付起訴猶予制度の制度設計を示すというものであったが、研究の遅れから変更を余儀なくされた。 令和5年度の実績として、近年欧米で新たに公表された無罪推定法理に関する文献の調査を進め、同法理の理論的基盤を強固なものとし、その射程範囲を明らかにしたことが挙げられる。無罪推定法理の歴史的起源とその発展を明らかにした上で、同法理が扱うべき「無罪」や「推定」の意義を明確化することができた。また、近年アメリカで議論が展開されている「中間評決」とそれが無罪推定法理にもたらす影響についても検討を加えた。以上の研究成果については研究論文としての公表に至ることはできなかったが、論文は概ね完成しており、令和6年度に公表する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究の初年度である令和2年度から始まった新型コロナウイルスの世界的流行の影響を継続的に受けてきたこと、また、当初の見込みより無罪推定法理を巡る諸外国の議論が錯綜し、かつ毎年新たな研究論文が多く公表されることもあり、本研究は当初の予定より遅れていると言わざるを得ない。 また、他の業務や歴史的円安の影響もあって、令和5年度もアメリカ検察実務の実態調査を行うことができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
以上の遅れを挽回するため、本研究の研究期間をさらに1年延長することとし、令和6年度も引き続き本研究を遂行することが認められた。 令和6年度には、無罪推定法理に関するこれまでの研究成果として研究論文をまずもって公表し、本研究の総括として同法理に違反しない条件付起訴猶予制度の具体的な制度設計を提示する。 なお、アメリカと日本の検察実務の実態調査については、これまでの研究成果を踏まえると、当初の見込みより得られる知見が少なくなる可能性もあるため、基本的には実施する方向で検討しつつも、状況によっては中止とする可能性もある。その場合は旅費として確保していた予算を図書費として使用することとする。
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