Project/Area Number |
20K19093
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 58060:Clinical nursing-related
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
松尾 和枝 九州大学, 医学研究院, 講師 (90389502)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2022: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2021: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2020: ¥2,470,000 (Direct Cost: ¥1,900,000、Indirect Cost: ¥570,000)
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Keywords | 緑内障 / 視線計測 / 点眼アドヒアランス / 点眼治療 / 看護支援 |
Outline of Research at the Start |
原発開放隅角緑内障(POAG)は、成人の中途失明の原因となる慢性進行性の疾患で、点眼治療が非常に重要であるが、患者が数十年間にわたる治療期間の中で、点眼を継続できないことが問題となっている。一因として、視野が半分以上欠ける末期に至るまでほぼ無症状であるために、治療継続の意義を認識しづらいと考えられる。本研究では、POAG患者が日常生活の中で、自身で認知できない特有の視線や見え方の特徴を有している可能性に着目し、視線計測システムによる客観的情報をとらえようとしている。また、その情報を患者に伝えることで、点眼治療継続への動機づけを中心とした看護支援につなげることを目的としている。
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、以下のように研究を実施した。①視線計測:PC画面上の指標を追視する際の視線計測を実施。視野角60度まで測定できるようディスプレイのサイズ、高さ、研究対象者との距離を設定した。研究対象者には、グラスタイプのアイトラッキングシステムを装着し、頭部を固定した状態で、PC画面上にランダムに3秒ずつ点灯する指標を追視させ、視野映像および視線軌跡、注視位置や注視時間、瞬目回数、反応時間を測定した。測定は単眼ずつ4分程度実施し、視線解析ソフトで分析した。結果:40歳代から60歳代 の健常者10名に実施した。追視にかかる反応時間は、年齢が若いほど速い傾向にあった。年齢を問わず、視野角(30度以内~45度程度)の反応時間は速いが、周辺視野部ほど反応時間の遅延もしくは追尾不可がみられた。課題として、健常者であっても角膜の屈折率、近視の程度、その他理由により視線動向にばらつきがあり、安定した信頼性のある測定結果が得られているか否か検討が必要である。更に、今年度は高年齢者にも調査を実施したが、画面を注視することや追視に苦痛を述べる対象者もおり、緑内障患者への実施については見合わせ、今後の研究計画を検討することとした。 ②点眼治療中断の理由の概念化:前年度に引き続き、POAG患者のインタビュー結果を質的に分析し論文としてまとめ発表した。点眼治療中断の理由には、本人の意志が介在する場合としない場合があり、患者を取り巻く背景因子との関係を明らかにするには、対象者を拡大した調査が必要である。また、POAG病期における自覚症状の有無、見え方の特徴についてはまだ明らかにしておらず、今後の調査が必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、POAG患者への視線計測を予定していたが、視線計測上の課題として日常生活行動における測定の誤差、および頭部固定によるPC画面上の測定における誤差や苦痛もあることから、患者への調査を見合わせ健常者からの基礎データを収集することにとどまった。また、POAG患者への新たなインタビュー調査を予定していたが、感染症流行の影響により、患者への依頼が躊躇された。そのため、本研究前に調査していたインタビュー結果を先行文献等も基に再分析し、研究会での討議、論文作成のプロセスにより概念化を進めた。これらの成果を基に、年齢層や治療歴、自覚症状、点眼本数、サポート体制等の多様な背景をもつPOAG患者に対し広範囲規模の調査に向けて質問項目の精選、協力者との関係づくり等を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、①健常者への視線計測調査、②POAG患者への質問紙調査を実施し、これらをともに、③点眼アドヒアランスのアセスメントモデルを提案する。 ①POAG患者にとって、日常生活行動のうちどのような場面が困難となりうるかを明らかにするために、健常者を対象に、さまざまな日常生活行動をシミュレーションしてもらい視線計測を行う。分析の視点は、特に周辺部に視線を向けることが多い活動に注目する。対象: 健常成人:15名程度。方法:グラスタイプのアイトラッキングシステムを装着し、歩行、階段昇降、ベッドへの昇降、食事場面等における視線計測を実施。視野映像および視線軌跡、注視位置や注視時間、瞬目回数、移動速度、反応時間のデータを収集し、視線解析ソフトで分析する。 ②POAG患者に質問紙調査表を配布し、年齢、性別、POAGの治療歴、点眼実施状況、治療上の困難、自覚症状及び見え方について調査する。得られたデータを分析し、背景因子と点眼治療状況との関連等を明らかにする。 ③①・②の結果をもとに、POAG患者の点眼アドヒアランスをアセスメントするためのモデルを提案する。
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