戦災のもたらす心霊現象の社会学:〈見えないもの〉の記録と継承
Project/Area Number |
20K20791
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Research (Exploratory)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 8:Sociology and related fields
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Research Institution | Hitotsubashi University (2023) Matsuyama University (2020-2022) |
Principal Investigator |
根本 雅也 一橋大学, 大学院社会学研究科, 講師 (00707383)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2024-03-31
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,770,000 (Direct Cost: ¥2,900,000、Indirect Cost: ¥870,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | 戦争体験の継承 / 心霊・超常現象 / 原爆 / 空襲 / 戦災 / 地域社会 / 伝承 / 心霊現象 / 超常現象 |
Outline of Research at the Start |
戦争体験を継承することは、日本社会の課題として頻繁に言及され、多種多様な実践が行われている。しかし、注目を集めるのは意識的な継承活動であり、自然発生的に語り継がれる「継承」はこれまであまり省みられていない。本研究では、戦災にまつわる心霊・超常現象を戦争体験が語り継がれる一形態として捉え、それらを掘り起こすことを試みる。これらの心霊・超常現象の語りの考察を通じて、体験者による証言や教育とは異なる「戦争体験の継承」のあり方を探る。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、体験者による証言や教育などとは異なる「戦争体験の継承」のあり方を探求するため、戦災にまつわる心霊・超常現象に着目した。そして、それらを掘り起こすとともに、戦災による死者と地域社会の関わりを探った。この目的を達成するため、本研究は、広島に投下された原爆の災禍と東京空襲という二つの戦災を事例として取り上げた。 令和5年度は新型コロナウイルス感染症の影響もおさまり、調査対象地などにおいて資料収集に加えて、実際に観察や聞きとり調査も実施することが可能となった。広島市での現地調査では、かつて原爆による死者が埋葬された場所を訪れ、その近辺の歴史について探った。 研究期間全体を通じて実施した調査研究の成果を整理すると次のようになる。まず、コロナウイルスの流行により、全体として、現地調査では直接人びとの話を聞いたり、参与観察を実施したりする機会は限られていた。そのため、戦災にまつわる心霊・超常現象のエピソードが極めて限定的にしか得られなかったという事実は、元々そうした出来事や語りが存在しないためか、あるいは、調査が不十分であったためか、現時点では判断できない。 一方、コロナ禍においても実施できた資料調査からは、いくつかの成果が得られた。第一に、戦争・戦災体験者の手記や回想録の中に不可思議な体験談が散見されるということである。第二に、戦争にまつわる心霊・超常現象は、ときに民話のかたちで記録され残されてきたということだ。第三に、怪談やミステリーといったオカルトの分野では、書籍や雑誌において戦争・戦災の心霊・超常現象は多く見られた。こうした資料調査を通じて見えてきた一つは、戦争にまつわる不可思議な現象には、家族といった身近な人物に関係するものと名も知らぬ人物に関わるものに大別されうるということであり、後者にはその土地や場所の歴史が関わるということである。
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Report
(4 results)
Research Products
(19 results)