Project/Area Number |
20K22167
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
0108:Sociology and related fields
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
吉川 侑輝 立教大学, 社会学部, 助教 (30881429)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 相互行為分析 / 遠隔音楽活動 / エスノメソドロジー / 会話分析 / 音楽活動 / 遠隔活動 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、遠隔による音楽レッスンなどのオンライン設備等を利用した音楽活動を対象とした相互行為分析を行うことによって、遠隔による音楽活動やそこに含まれる行為の構造を明らかにする。このとき、音楽家たちが自然生起的状況において従事する実践的な社会課題にそくした分析をおこなうエスノメソドロジー研究の方針をとることで、音楽を単なる「客体」ではなくそれをとりまく社会過程の「総体」のなかに捉えなおそうとする近年の音楽社会学が音楽の一般理論を構築するための事例を提供する。本研究はまた、研究成果を遠隔レッスンなどの効率化や改善をめざす音楽家たちへと直接還元することをめざす。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、オンライン設備等を利用した音楽活動の相互行為分析を通じてその特徴を明らかにすることを目指している。 2023年度は、研究成果が行う比較検討作業の中核をなす基礎的な相互行為の検討作業にとりくんだ。具体的には、主に日常会話のコーパスを導入し、相互行為の分析をおこなった。こうした作業をひとつの基礎として、会話分析や相互行為分析にとどまらない、エスノメソドロジー自体の省察的な検討作業をおこなった。これらの作業の成果の一部は主として、下記のようなエスノメソドロジーについての講習会やセミナーにおいて公表された。 ・日本質的心理学会第20回大会講習会「エスノメソドロジーを支援する5つの技術」(2023年11月3日);2023年度エスノメソドロジー・会話分析研究会入門セミナー : 分析ワークショップ「順番交替の組織」(2023年11月26日実施) これらの作業は経験的テーマに留まることのない主に理論的または技術的な検討作業として位置づけられるものであるが、その際、本研究のテーマがオンラインにおける相互行為の分析作業である点と関連付けて検討することができるものである。換言すればこれらの成果は、オンラインレッスンの参加者たちが導入する様々な技術の位置づけを、エスノメソドロジー研究が導入する分析技術との関係において検討することが可能となるものである。 またこれらに加え、音楽にかかわる技術史的な検討作業も、歴史資料などを用いながら進められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究の基本的な方針は、遠隔によって行われる音楽活動の構造を、それぞれの実施現場に赴き、映像記録機材を用いて記録分析などを行うことである。 2020年度はCOVID-19の影響により遠隔の楽器レッスンを対象とした研究論文等の研究レビューを実施し、2021年度はフィールドワークが可能となる感染状況のなかで、リハーサル場面など実際のフィールド調査を実施した。2022年度についてはCOVID-19の影響が次第に限定的になるなかで調査を継続しつつ、基礎研究や技術史の歴史的検討作業を進めた。 その上で、2024年度は、本来の研究目的である、オンラインレッスンの相互行為分析を継続・開拓・完結させることが必要となる。先述のように、2024年現在、オンラインレッスンが再び対面に回帰していく傾向が見込まれるなかで、対面レッスンの変容や、あるいは新たなレッスン技術として日常化したオンラインレッスンの様態をより具体的に捉えるための作業にとりくむ必要性が、新たな課題として生じていると考えられる。 以上より、当初の計画より遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度の進捗状況に鑑み、2024年度には本研究は、主として、以下の作業を引き続き進めることになる。 1. 本研究が既に実施したレビュー調査や経験的研究、そして基礎研究を踏まえながら、経験的な調査を開拓・継続し、それらの作業成果を論文や学会発表のかたちで、報告・公表する。 2. 本研究が新たに実施した理論的検討作業や基礎研究的作業を、査読論文の形で公表する。 3. 収集されたインタビューや歴史資料などを利用し、遠隔音楽活動を、音楽と技術にかかわるより広い社会史のなかに位置づける。 4. 2023年度に行った技術的検討作業を、オンラインレッスンを行う日常生活世界における技術利用と関連付けて検討し、エスノメソドロジーについてのよりメタ的な知見の中に両者を位置づける。 上記の作業を通じて、遠隔音楽活動が備える特徴やその困難の解消方法などを特定し、論文執筆などを行う。
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