Research Project
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
HTLV-1はCD4^+T細胞に感染後、長い潜伏期間を経て成人T細胞白血病(ATL)を引き起こすが、発がん機構の全貌はいまだ明らかになっていない。ATF3はATF/CREBファミリーに属する塩基性ロイシンジッパー(bZip)構造の転写因子である。このファミリーの転写因子は、細胞内外の刺激に対して迅速に反応する初期応答遺伝子であり、結合配列TGACGT(C/A)(G/A)を介して標的遺伝子の転写制御を行い、生体応答のgatewayとして機能している。ATF3は、bZip構造を介して、c-Jun、ATF2、JunB、JunDなどと複合体をつくり、ATF/CREモチーフやAP-1配列をもつ遺伝子プロモーターの転写制御を行う。ATF3はがん遺伝子としての性質をもつが、がん抑制遺伝子として作用するという報告もあり、細胞依存性に細胞増殖と細胞死という2つの異なる細胞運命に関与する。HTLV-1による発がん機構へのATF3の関与を調べるために種々のT細胞株におけるATF3の発現をmRNAおよびタンパク質レベルで検討したところ、HTLV-1感染T細胞株で特異的にATF3の発現が亢進していた。健常人PBMCとCD4^+T細胞では発現がみられなかったが、PHA刺激PBMCには発現が観察され、ATL症例のPBMCにも発現がみられた。ATL症例のリンパ節や浸潤皮膚組織のATL細胞の核にATF3の発現がみられた。ATF3遺伝子にはP1とP2の2種類のプロモーターが存在するが、HTLV-1感染T細胞株やATL細胞は2つのプロモーターで制御されていた。HTLV-1感染やTaxによりATF3のP1およびP2プロモーターは活性化された。P2プロモーターの解析より、Tax応答領域は-92/-84bpにあるATF/CREモチーフであり、HTLV-1感染T細胞株、ATL細胞、Tax発現T細胞株の核抽出液ではこの配列にATF1/ATF2/ATF3/CREB1/c-Jun/JunB/JunDの結合が観察された。Taxはp38、JNK、ERKの活性化を誘導し、これら3種のMAPKの各阻害剤はHTLV-1感染T細胞株におけるATF3の発現を抑制した。さらに、p38やCREBの優性抑制変異体はTax誘導性ATF3プロモーター活性や感染T細胞株におけるATF3プロモーター活性を阻害した。ATF3遺伝子ノックダウンは感染T細胞株の増殖を特異的に抑制し、ATF3の標的遺伝子GADD153の発現やBakの発現を増強し、Bcl-2の発現を抑制した。ATF3はTax依存性のHTLV-1のLTRプロモーター活性を増強し、ATF3遺伝子ノックダウンは感染T細胞株のTaxの発現を抑制した。
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