高い転移温度を示すスーパースピングラス薄膜の創製と脳型メモリーへの応用
Project/Area Number |
21656163
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Inorganic materials/Physical properties
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田中 勝久 京都大学, 工学研究科, 教授 (80188292)
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Project Period (FY) |
2009 – 2010
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2010)
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Budget Amount *help |
¥3,200,000 (Direct Cost: ¥3,200,000)
Fiscal Year 2010: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2009: ¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,600,000)
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Keywords | スーパースピングラス / 薄膜 / フェライト / 磁気転移 / 脳型メモリー / スピンダイナミクス / 非線形磁化率 / メスバウアー分光 |
Research Abstract |
スピングラスの理論的モデルは脳の連想記憶の機構との類似性が指摘されて大きな反響を呼び、その後ニューラルネットワークへ応用されて情報工学の領域で大きな成功を収めている。一方、逆にスピングラスを利用して脳の連想記憶に相当する系を確立し、新しいメモリー材料を構築しようとする試みはほとんど見られない。これは、これまでに知られているスピングラスの磁気転移温度が数K~数十K程度ときわめて低いことが原因の一つとなっていると思われる。このような現状に対して、研究代表者はすでに不規則亜鉛フェライトにおいて室温以上でスーパースピングラス的挙動が見られることを明らかにしている。同様の現象は他の酸化物でも期待できる。また、スーパースピングラスの起源が結晶構造中に存在する磁気クラスターによるものか、薄膜の微視的形状によるものかは不明であり、これを明らかにすることは、高温でスーパースピングラス相を安定化する機構を明確にする上で重要である。本研究では酸化物磁性体薄膜を気相法により合成し、磁気的性質を測定してスーパースピングラス相の存在を実証する。本年度は、昨年度に見いだした、強磁性転移とリエントラントスピングラスの挙動を示すEu^<2+>系非晶質薄膜に関して詳細な構造解析を進めると同時に、強磁性が現れる機構を理論・実験両側面から調べた。まず、非晶質Euo-TiO_2系に対してEuとTiのx線吸収微細構造(XAFS)測定を行い、Eu^<2+>とTi^<4+>の局所構造を解明し、特にTi^<4+>の配位環境が結晶相とはまったく異なることを見いだした。また、Eu^<2+>の4f軌道と5d軌道を対象にX線磁気円二色性分光(XMCD)を行い、強磁性の起源が5d軌道を介した4fスピン間の間接相互作用であることをつきとめた。さらに密度汎関数法を用いた第一原理計算により、EuTiO_3の格子体積の増加に伴いEu^<2+>間の交換相互作用が強磁性的になることを見いだし、Ti^<4+>の空の3d軌道を介した相互作用との競合がこの系の磁性を決定づけると結論した。
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Report
(2 results)
Research Products
(10 results)