コミュニティーレベルでの胃腸炎ウイルス制御法開発(社会のワクチン)への挑戦
Project/Area Number |
21659157
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Hygiene
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
中込 治 Nagasaki University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (70143047)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中込 とよ子 長崎大学, 医歯薬学総合研究科, 准教授 (40155693)
佐野 大輔 北海道大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (80550368)
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Project Period (FY) |
2009
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2009)
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Budget Amount *help |
¥3,000,000 (Direct Cost: ¥3,000,000)
Fiscal Year 2009: ¥3,000,000 (Direct Cost: ¥3,000,000)
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Keywords | ロタウイルス / ノロウイルス / 下水処理 / ウイルス性胃腸炎 / 腸内細菌 |
Research Abstract |
ノロウイルスはどうやって現代の上下水処理制御をかいくぐり自然界でヒトからヒトへの感染環を維持しているのか。ノロウイルスによる被害を最小化するためには、ノロウイルスの自然界での動態を明らかにし、感染制御をコミュニティーレベルで達成する新規な衛生工学的水処理技術の開発が必要である。本研究は、ノロウイルスが組織血液型抗原をレセプターとすることにヒントを得て、ノロウイルスを環境中で安定に生存させるキャリア細菌があるのではないかという仮説を検証することにより、新規な下水処理法の開発につながる突破口をつかむことを目的とした。未処理下水を原材料に6種類の腸内細菌用培地を用いた微好気性培養を行い、これを血液型判定法の原理を応用したELISAによりノロウイルス吸着細菌をスクリーニングした。ここで分離された菌を微好気条件下に単離し、増菌後に組織血液型抗原への結合を確認した上で、16SrDNAの配列を決定し、ホモロジー検索によりPseudomonas,Klebsiella,Proteusに近縁な3株を同定した。これらの3株と対照菌株である大腸菌K12株とを用いて、ノロウイルス粒子の吸着実験を行ったところ、吸着平衡定数が10^12のオーダーの高い値が得られた。すなわち、菌体表面に組織血液型抗原と同等の糖鎖構造をもち、かつ高い平衡定数でノロウイルスに吸着する腸内細菌株を見出すことができた。今後、再現性および推定パラメータの精度確認などの実験が必要であるが、ノロウイルスのキャリア細菌仮説を強く支持する結果が得られたことから、コミュニティーレベルでの胃腸炎ウイルス制御法開発,すなわち,「社会のワクチン」開発に向けての第1歩が得られたと考える。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)