シグナル伝達データベースとオミックス解析による先天奇形症候群の病因解明
Project/Area Number |
21659250
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Pediatrics
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
松原 洋一 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (00209602)
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Project Period (FY) |
2009 – 2010
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2010)
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Budget Amount *help |
¥3,000,000 (Direct Cost: ¥3,000,000)
Fiscal Year 2010: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2009: ¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
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Keywords | シグナル伝達 / 遺伝子変異 / 癌遺伝子 / 先天奇形症候群 / 遺伝性疾患 / データベース / RAS / MAPK |
Research Abstract |
本研究者らは2005年にHRASの生殖細胞系列での変異を先天奇形症候群であるCostello症候群で同定した(Nature Genetics,2005)。また2006年にcardio-facio-cutaneous(CFC)症候群の原因がKRAS,BRAFの遺伝子変異が原因であることを報告した(Nature Genetics,2006)。申請者らの発見が契機となり、RAS/MAPKに異常を持つ先天異常症という新しい疾患概念が確立した。本研究の目的は、これまでの細胞ベース・マウスベースとは異なる、ヒト発生異常の表現型の臓器別・stage別の詳細な情報と遺伝子の機能・シグナル伝達マップを包括的に網羅するヒト発生異常のデータベースを構築し、データベースに基づいたプロテオーム解析(遺伝子発現タンパクの網羅的解析)をおこなうことによってMCA/MRの原因遺伝子を革新的な探索法を開発することにある。 本年度は、患者で同定された変異が遺伝子特異的あるいは変異特異的にシグナル伝達経路を活性化させるかどうかを検証するために、HRASの野生型とコステロ症候群で同定された変異9種類を、レトロウイルスベクターを用いてヒト線維芽細胞に導入し、RAFへの結合活性とその下流のシグナルであるELK,c-jun転写活性を解析した。その結果、A146T変異ではRAF結合活性が他の変異より低かった。K117R,A146T変異ではc-junの転写活性の上昇は有意には観察されなかった。さらに、これまでにがん遺伝子変異をヒト2倍体線維芽細胞に導入すると細胞老化が起こることが明らかになっていることから、これらの9種類の変異が細胞老化にどのような影響を及ぼすかを調べたところ、コドン12,13の変異より少し活性が弱いとされたK117R,A146T変異においても、細胞老化の表現型と細胞老化に関与する下流の分子の活性化がみられた。以上より、コステロ症候群で同定された変異は、活性の弱い変異であっても細胞老化をおこす能力があり、細胞老化がコステロ症候群の症状である低身長や骨粗繧症に関与している可能性が示された。同様にBRAF,KRAS,PTPN11変異を持つベクターも作成し、遺伝子特異的なシグナル伝達活性化の有無を解析している。
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Report
(2 results)
Research Products
(17 results)