Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
「研究の目的」腸内細菌及びその後に生じる過剰な免疫反応を調整することが、炎症性腸疾患治療の重要なターゲットとなると考えられる。炎症性腸疾患患者の腸内細菌を詳細に解析して、それをもとに個々の患者の治療に有用な腸内細菌抗原を同定し、その腸内細菌抗原由来のimmunostimulatory sequence oligodeoxynucleotides (ISS-ODNs)含有microsphereを用いた新規治療を開発する。「研究成果」まず、クローン病および潰瘍性大腸炎といった、炎症性腸疾患患者の糞便検体サンプルおよび、健常人の糞便サンプルから菌体DNAを抽出した。各種菌特異的なプライマーを用いたReal-time PCR法を用いて菌群、菌種の定量値を得て、比較検討を行った。その結果、健常人の糞便サンプルからは、潰瘍性大腸炎やクローン病患者からの糞便サンプルより多くの、Bifidobacterium属のDNAの増幅が確認された。さらに、緩解状態の潰瘍性大腸炎患者の糞便サンプルからも、活動期の潰瘍性大腸炎患者の糞便サンプルよりも多くのBifidobacterium属のDNAの増幅が確認された。これらのBifidobacterium属に含まれる菌種に炎症性腸疾患患者の治療に有効な菌種が存在する可能性が示唆された。現在、Semi-Nested PCR法により、目的となる最近由来16SrDNA配列の増幅をおこない、より詳細な菌種の同定を行っている。