Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
超高磁場(3テスラ)MRI装置を用いて、断酒後各段階のアルコール依存症患者3群と健常被験者を対象に磁気共鳴スペクトロスコピーを行い、生体内でのGABA、グルタミン酸等の神経伝達物質を測定、比較することで依存のメカニズムと回復過程について調査することが本研究の主旨である。現在、アルコール依存について死後脳などでなく、生体内での神経伝達物質の変化をin vivoでとらえた研究はほとんど見られず、成功すれば依存症の生物学的基盤の解明に大きく寄与することが期待できる。また、非侵襲的な方法を用いており、被験者にとって安全であることも本研究の大きな利点である。2年目にあたる本年度は蓄積されたデータの解析と成果発表を行う予定であったが、昨年度、新規納入された3テスラMRI装置が当初予定していたメーカーのものでなかったことが原因して、GABA、グルタミン酸の測定が難渋し、何度も試行してみたが、現在までに有意義なデータの蓄積に至っていない。ただ、対象患者については健常対象と長期断酒群(数年)、短期断酒群(数ヶ月)飲酒直後群とも十分数が確保されているため、来年度も現行の研究を継続して(本学倫理委目会には研究延長を申請済み)、最終的に論文作成までこぎつかせたいと考えている。ただ、どうしてもGABA、ゲルタミン酸の測定がうまくいかない場合は、次善の策として測定項目をN-アセチルアスパラギン酸やコリン、クレアチニンなど比較的容易に測定できるものに変更した上でデータをまとめることも考慮したい。
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