Research Abstract |
○研究目的 変化が激しく,価値が多様化する21世紀を子どもたちが主体的に生きていくためには,多くの人・もの・ことの価値や美しさを表面的に捉えるのではなく,それらとじっくり関わりながら自分にとっての真の価値や美しさを見出す力が必要になる。本研究は,横浜国立大学教育人間科学部附属鎌倉小学校が4年間継続して神奈川県立近代美術館と連携し,作品を介した人と人との対話を軸にした鑑賞教育に力を入れてきていることをベースとして,地域から閉ざされた空間となりつつある学校を地域の美術鑑賞拠点校として位置づけ,アートを介してコミュニケーションを図り,学校と地域のよりよい関係性を構築するプロジェクトである。 ○研究方法 プロジェクトを遂行するにあたり,鎌倉在住のキュレーターや美術作家らと共にプロジェクト実行委員会を発足した。そして12月5日から13日までの9日間,「鎌倉なんとかナーレ2009」として,本校児童や教員のアート作品,パフォーマンス,さらには美術作家やNPO団体によるワークショップ,演劇公演などを介し,人々のコミュニケーション、交流の場として広く地域に開放した。 ○研究成果 閉塞感漂う現代の学校社会にあって,学校開放イベントは地域住民や観光客の関心を高め,児童や保護者を除く一般来場者数は約700名を超えた。開催期間中は,学校がアート空間と化した非日常の環境下においては,集う人々が互いに気負うことなく本意を出し,共感するコミュニケーションが促進された。その結果,児童,保護者,教師,美術作家,アーティスト,地域住民がより深い関係性を築けた。次年度に向けての地域の期待は大きく,さらに多くの地域住民や地元NPO団体に参加を呼びかけ、学校を起点にアートを媒介としたコミュニケーションを図り、大人や子どもがいきいきと暮らせる学校やまちづくりを推進していきたい。
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