Research Abstract |
本校では、平成18度から,総合的な学習の時間,道徳の時間、各教科等で情報モラル教育に取り組んできた.3年間を見通した指導計画,指導資料を作成し,全校で実践を重ね,情報モラルの授業の開発を行った。しかし,ネット上のトラブルの多くは家庭で起きていること,トラブルは減少したが,無くなったわけではないことなどから,家庭・地域と連携した情報モラル教育が必要と考えた。そこで,学校と家庭・地域が協働して,情報モラル教育に取り組むための体制作りに関するノウハウを蓄積し,それを整理することを目的に実践・研究を行うこととした。 本研究は,家庭・地域と連携した情報モラル教育を行うための具体的な手だてとして,次の2点を重点に行った。 (1)情報モラル通信の発行:本校の情報モラルの授業で取り上げた内容の中で,特に保護者の理解と協力が必要な内容について説明と問題解決のための具体策を解説した通信を,IT企業に勤務するPTA会長の協力を得て,7月から8回発行し,啓発に努めた。情報モラル通信は,毎回3000部印刷し,本校家庭の他、近隣の町内会にも配布し,地域の小中学生のいる家庭でも利用できるようにした。 (2)保護者向け研修会の開催:2月にPTA役員向け研修会を開催し,前年度作成した保護者向け対応マニュアルの改訂に向けたワークショップを行った。また,3月には,情報モラル通信だけでは伝えきれない,ネットを利用する上での知識・技術を理解するための保護者向け研修会を開催し,PTA会長,校長と3人で講師を務めた。 本校は,校長,PTA会長がIT関係の専門家であり,この強みを生かし,家庭・地域向け情報モラル通信の発行,PTAの協力を得て保護者向け研修会を開催するなどの体制づくりが確立できた。しかし,情報モラル通信については,保護者が具体的な対応ができるよう,さらに基礎的で理解しやすい内容であること,対応マニュアルについては,文字数を減らし,見てすぐわかる内容が求められていることがわかった。また、保護者向け研修会は,参加者から好評で,年5回実施予定であるが,平日夜の開催では,参加者が限られることがわかった。ネット上のトラブルを無くするためには,学校での情報モラル教育と家庭・地域と連携した情報モラル教育の普及が不可欠である。本研究を通して明らかになった成果と課題について学校Webサイトから公開し,広く普及に努めている。
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