民俗芸能の伝承を実践する場としての小中学校の役割についての調査研究
Project/Area Number |
21911005
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Scientists
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
地理学・文化人類学・地域研究
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Research Institution | 宮城県教育庁 |
Principal Investigator |
小谷 竜介 宮城県教育庁, 文化財保護課, 技術主査
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Project Period (FY) |
2009
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2009)
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Budget Amount *help |
¥460,000 (Direct Cost: ¥460,000)
Fiscal Year 2009: ¥460,000 (Direct Cost: ¥460,000)
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Keywords | 民俗芸能 / 小学校 / 価値の生成 |
Research Abstract |
本研究では、宮城県石巻市桃生町寺崎地区に伝わる寺崎のはねこ踊、仙台市秋保町に伝わる秋保の田植踊を主たる対象として、民俗芸能の伝習活動に於ける小中学校の関わりのあり方について実証的な調査研究を行った。 この結果、芸能を伝える集落などよりも広い範囲に学区を持つ学校での伝習活動は、民俗芸能の「民俗」としての側面において大きな変容をもたらし、集落の芸能といった側面が弱められることが確認された。逆に、元来集落よりもより大きい範囲で伝承されてきた芸能などは学校での伝習活動を通して伝承が活性化するといった面も見てとることができた。 問題が生じているとみられる事例を観察すると、大きく二つのパターンに分類された。一つは、伝承する集落の枠を外すことにすることで、集落の民俗世界から離れて芸能として活性化する場合で、もう一つは伝習する芸能と集落で伝えられる芸能に差異化を持たせる場合である。後者は民俗芸能の芸能性と民俗性を分けることで成立するものである。こうした動きは寺崎のはねこ踊で観察され、一見すると集落と切り離された民俗芸能が隆盛しているように見える。しかしながら、実際の展開過程や地域社会での位置づけを見ると、芸能を隆盛させることによって、その本家本元としての寺崎集落という意識を高める結果となっている面を見いだすことができた。 芸能は本質的にその舞手の属性が問われないものである。一方民俗芸能は地域社会などの民俗性が与えられることにより価値付けされるものである。それゆえに、寺崎のはねこ踊の伝習活動の展開と、地域の中でのはねこ踊の価値付けの変化は、民俗性を持たせながら芸能を伝えていくという面で大きな方向性を投げかけているといえる。
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Report
(1 results)
Research Products
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