学校教育の高校物理領域における熱学理解に役立つ熱機関の解析と教材化の研究
Project/Area Number |
21914002
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Scientists
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
物理
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Research Institution | 広島県立宮島工業高等学校 |
Principal Investigator |
黒川 冨秋 広島県立宮島工業高等学校, 教諭
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Project Period (FY) |
2009
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2009)
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Budget Amount *help |
¥340,000 (Direct Cost: ¥340,000)
Fiscal Year 2009: ¥340,000 (Direct Cost: ¥340,000)
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Keywords | 常温熱機関 / 水飲み鳥 / ベビーエレファント号 |
Research Abstract |
[研究目的]高校物理領域で、動的・循環的な熱学理解のための教材としての熱機関は、自然界での物質やエネルギーの循環の問題の認識、また社会的な関心としての循環型社会の形成の問題の認識に対して、役に立つ。熱機関は、専門教科・科目を学ばない生徒にとっても役に立ち、興味を惹き起こす教材3つを取り上げた。[研究方法]熱学教材として(A)常温熱機関(水飲み鳥富士商会)(B)単動式首振りエンジンによる蒸気機関車(商品名:ベビーエレファント号、株式会杜オオミヤ)(C)ビー玉スターリングエンジン(ケンコー)を購入し、動作の計測を行った。併せて文献調査を行った。熱的特性と教材としての実用性を検討した。[研究成果](A)水飲み鳥は、高温部と低温部との温度差、環境との温度差が2~3度と小さい。その作動において、熱学的な水の状態変化に伴う潜熱の放熱や物質輸送に伴う伝熱(対流)が、力学的な振動周期,系の重心移動(獅子おどしに類似)、慣性モーメント、力のモーメント(てこの原理)などの動作特性と密接につながっている。今回、次のような知見i)ii)iii)が得られた。文献調査で、i)高校における教科・科目での扱い(1)実教出版「理科総合A」(熱エネルギーの性質、水飲み鳥も熱機関)(2)実教出版「原動機」(熱機関のサイクル、熱力学の第2法則の概念図)での扱い。計測では、ii)周期性:DrDAQ(pico technology ltd社製)による記録(1)周囲の気流の影響(水飲み鳥に対して風を送り風速を測定する)(2)風速と周期との関係(気温27.5℃、湿度58.5%および温度27℃、湿度66%)(3)湿度の影響(湿度Hと周期τとの関係)(風速0、気温27℃~32℃)を行った。更に、iv)水飲み鳥についての考察では(1)水の気化熱、熱伝導と空気の対流、水の気化熱、熱伝導、空気の対流など熱的環境と動作との関連性を調べた。特に(3)作動のサイクルと熱的サイクルとが一致する点に注目できる。今後、熱機関としてのモデルの検討が一層望まれる。(B)ベビーエレファント号の製作・測定ではキットを利用して,身近にある工具類を用いての「物づくり」体験が可能である。熱源(800℃程度〕による水の加熱によりその動作(往復運度・回転と走行)が確認できる。生徒の知的関心を刺激する教材である。今回、燃焼時間、固形燃料消費量、水消費量、走行時間、走行距離、平均速度について記録を取った。ピストンの往復運動(周期0.2秒)と熱サイクルとは一致しない(はずみ車による慣性運動)ことに留意する必要がある。(3)ビー玉スターリングエンジンは、文献調査によるとスターリングサイクルの特性が確認されている。この教材はスターリングエンジンへの関心を高めるための導入となる教材である。一般にスターリングエンジンは温度差の少ない外燃機関として知られているが、このビー玉スターリングエンジンでは、低温部20℃、高温部140℃で周期1.5秒の動作であった。
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Report
(1 results)
Research Products
(3 results)