<研究目的> 豊かな生活を支える科学技術の事例は、学習者の興味や関心を喚起するとともに、科学技術と関連する基本的な科学的概念の有用性を感得させる最適な教材である。本研究では、中学校・高等学校の「物質の三態」に関する学習内容において、基本的な科学的概念の意味とその有用性が生かされている科学技術の応用事例や開発事例を探求し、科学的概念の理解を促進するための学習コンテンツを開発した。 目的1:物質の状態変化の有用性が感得できる科学技術の応用・開発事例を設定する。 目的2:実験室レベルでの金属の真空蒸着のようすをビデオカメラで撮影し、金属皮膜の形成過程を定性的に解析する。 目的3:金属蒸着の事例をもとに「物質の三態」についての学習コンテンツを開発し学習モデルを構築する。 <研究成果> (1)小型の真空蒸着装置とガラスベルジャーを用いて、高真空の容器内部で金属蒸着による皮膜の形成過程(金属の加熱蒸発→蒸気化→素材上での冷却→皮膜形成)をビデオカメラで撮影し、映像化した。 (2)金属蒸着の有用性を感得できる開発事例として、ゲーム機、銀行のATMやPCなどのタッチパネル装置(抵抗膜方式と静電容量方式)を取り上げ、金属皮膜の機能特性の実態を具現化した。 (3)アルミ蒸着PETフィルムやITO被膜を用いて簡易タッチパネルを制作し、タッチパネルの構造やしくみを生徒が主体的に探求する学習教材を作成した。 (4)中学3年生を対象に、「物質の三態」変化によるに金属蒸着のしくみ、タッチパネルのしくみ(金属蒸着フィルムの構造)について、科学概念の有用性などの意識調査を実施した。
|