Research Abstract |
研究代表者は,特別推進研究の補助で先端計測開発センターが世界に先駆けて試作開発した軟X線反射率計について,レーザー生成プラズマ光源点の位置決め機構を,新方式の簡便な調整で高精度を実現し,それを維持することを目的とした.現状の円柱ターゲットを板状ターゲットに変更し,それに合わせた駆動機構を改良した.市販の大気用1軸のスライドテーブルを2個購入し,直交させ,真空用に加工・洗浄,組み立てた.垂直駆動は現状のモータを利用,水平駆動用のステッピングモータを新規購入した.新規購入のパーソナルコンピューターにドライバーを組み込み,VisualBasicで駆動と測定ソフトウェアを作成,全システムを構成した.完成後の水平軸の変位は,約30mmの範囲で3μ以内に収まった.この機構を10-30nm軟X線反射率計に組み込み,ターゲット材Ge,Sn,Ta,Wで発光強度と波長依存性を測定した.13nm付近ではW,Ta,GeともEMTの印加電圧600Vから800Vで受光でき,これまで使ってきたSmよりも強度は強いことが分かった.測定した中ではWが最適で,Snはデブリとショット痕が大きく不向きである.また,平面ターゲットを使用したため反射率計後方からの光軸調整用のHe-Neレーザー光が,YAGレーザーまで到達することになり,連の光軸調整が迅速にできるようになるという副産物もあった. 発光特性を測定した諸条件や結果は東北大学多元物質科学研究所技術室報告第9号に報告した. これからこの機構を水の窓軟X線反射率計に組み込むつもりである.
|