目的 人の顔を模した垂直面における紫外放射(UV)の散乱・直達成分の季節変化を明らかにするとともに、太陽に正対する面でのUVの値から、地表で浴びうるUVの最大値を明らかにすることを目的に観測を行った。また農業高校においてUVに関する啓発を行った。 方法 福岡県糸島市(北緯33゜34′45″東経130゜13′52″)の農地において、水平面および南北方向の垂直面に、(株)プリードPCU-01を設置し、UV(300~400nm)の5分ごとの瞬間値をデータロガー(UIZ3671)に収録した。また1月17~19日の期間、赤道儀(TOAST-Pro)にUVセンサを設置し、太陽と正対する面におけるUVの測定を行った。 成果 南中時の季節変化:UV(horizontal)はUV(vertical-south)に比べ、季節変化が大きく、夏季にはUV(horizontal)がUV(vertical-south)の2倍、冬至前後にはUV(vertical-south)がUV(horizontal)の1.7倍程度の強度を示している。また1月17日に赤道儀に設置したセンサは37.6w/m^2を記録し、これはUV(horizontal)の8月19日の38.0w/m^2と大差がない強度である。UV(vertical-north)を散乱成分とし、直達成分を算出すると、夏季にはUV(horizontal)がUV(vertical-south)の4.5倍、冬季にはUV(vertical-south)がUV(horizontal)の2倍を超える強度を示した。またUV(vertical-south)の直達成分は、夏より冬に強度が大きくなることが明らかになった。 日積算値の季節変化:UV(horizontal)はUV(vertical-south)に比べ季節変化が大きく、夏季にはUV(horizontal)が、冬季にはUV(vertical-south)がより大きな強度を示している。また、1月19日に赤道儀に設置したセンサは63.77MJ/dayを記録し、UV(horizontal)は27.71MJ/dayであった。赤道儀上のセンサの値は10月上旬のUV(horizontal)の値と同程度であった。 今回の観測により、屋外では冬季でも夏季と変わらない程度のUVを浴びる可能性があることが明らかになった。
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