Research Abstract |
・施業対象地の地位の確定を目的としたクスノキ人工林の現況調査の実施 約48haの100年生クスノキ人工林内に10箇所の調査区を設定し,林況調査ならびに個体ごとの衰退度調査を行った。調査区は位置の永続性・情報公開時の利便性を考慮しGPSにより緯度・経度を把握した。林況調査の結果より,クスノキ林内のクスノキの材積は416立方/ha,立木密度は329本/ha,その他の樹種が同様に100立方/ha,2,080本/haとなった。衰退度は全平均がかなり「良」寄りの「やや不良」となり,比較的良好な状態の個体が多かった。以上により国内では希少な大面積クスノキ林全体の現況を把握できた。 ・クスノキ人工林の更新に最適な更新様式の模索 萌芽更新を促進させる適正な収穫規模を検討するため,単木伐倒3本,10m四方皆伐区,20m四方皆伐区を設定し伐倒前後の林内光環境の変化と調査区内のクスノキ伐根の萌芽状況を調査した。林内相対照度は,伐倒前は林内全てほぼ12%で,伐倒後は単木伐倒では13%とほとんど変化しないのに対し,20m区では49%,10m区では16%と増加が認められた。伐倒当年となる本調査期間中では全ての伐根に萌芽は認められず差異はなかった。また3年前に伐倒されたクスノキの伐根5株について現時点での萌芽状況を調査した結果,平均39本,平均直径1.4cm,平均樹高1.5mの萌芽が確認された。各伐根の中で直径3~4cm,樹高2~4mに成長している萌芽が数本存在し,このような多数の中の数本が今後大きく成長していくと考えられた。萌芽状況の調査は今後も継続調査が必要であるが,本調査を通じて時代の変化により数十年間放置状態であったクスノキ人工林に管理の手を入れられたことに大きな意義があると考える。
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